前回第611回の「次の次元の合気の道へ」で、これまで魄(腕力、体力)に頼っていた肉体的・物質的稽古に限界を感じたら、次の次元の稽古に移らなければならないと書いた。
それでは次の次元の稽古とはどのような稽古と、開祖は云われているのかというと、核になるのは「合気道は魂の学びであります」だと思う。それまでの物質的稽古から精神的稽古、魄の稽古から魂の稽古にふりかえるのである。
開祖はこれを、また、「合気は魄を排するのではなく土台として、魂の世界にふりかえるのである」と言われているわけだから、土台になる魄も大事にしなければならないわけである。
さて、魂の学びである、魂の稽古をどうすればいいのかということになる。これまでの魄の力ではなく、目に見えない魂で相手を制したり、導く稽古をすることであろう。
いろいろやらなければならない稽古があるようだが、今回は地の呼吸と天の呼吸の息によって技を生み出す稽古を選んでみる。
それは、開祖が「合気はいつもいう通り、地の呼吸と天の呼吸とを頂いてこのイキによって(略)技を生み出してゆく」と言われているからである。
更に、「天の呼吸即ち日月の呼吸、地の呼吸即ち潮の干満、と四つに分けている。この天と地の呼吸の交流を受けて、立派な人となることを目標に(十字つまり合気である)合気は鍛錬していく(武産合気P92)」とも言われていることから、この天の呼吸と地の呼吸の研究をしたいと思う。
技は天の呼吸と地の呼吸を頂いた息によって掛けなければならない。天の呼吸とは日月、つまり縦の呼吸、地の呼吸は潮の干満の横の呼吸であると考える。そして縦と横の呼吸で十字となる。尚、縦は腹式呼吸、横は胸式呼吸だと考える。
この十字の息づかいを実際どのようにつかうかということになるが、これを片手取り呼吸法で説明してみる: