【第872回】 第872回  四つの宝で技を

「第845回 日月の気と四つの宝」で“四つの宝“の重要性を認識して以来、この“四つの宝“をどのようにつかえば技になるのか、また、どのような技になるのかを研究してきた。そして“四つの宝“が実感出来るようになり、つかえるようになってきたので、分かった事や出来るようになった事を書いてみることにする。

まず、“四つの宝“とは何かを復習する。それは日月の気と天の呼吸と地の呼吸、潮の干満である。これで技を生まなければならないのである。また、この“四つの宝“の技は「世界を淨め、和合させ」、「天から光明を与えられる」ものである。つまり、相手を納得させ、天がお墨付きを与えてくれる宇宙の技ということである。これを大先生は、「日月の気と天の呼吸と地の呼吸、潮の干満とこの四つの宝を理解せねばいけないのである。もう一つ、澄み切った玉が必要である。この五つのものが世界を淨め、和合させてる。植芝ばかりではない、これに賛成する人は同志として光明を天から与えられ、それを観得される筈です。」(合気神髄P.14)と言われているのである。
これまでの相手をどう倒そうとか、そのため身体をどう使おうかなどという利己的、相対的、物質的なものとは異なり、天地宇宙と一体となる雄大なものである。

最初の「日月の気」である。天の気ともいう。天地と一体化するために、己の気を天の気に合しなければならないが、誰でもお日様とお月様を見れば気を感じることができるはずである。もし、感じられなければ感じるようにならなければならない。天の日月の気は実在するからである。生物(木、草花、動物、人間等)は日に向かって成長し、生きている。日の気と結んでいるわけである。月に向かって狼が吠えるのも、狼が月の気と結んでいるからだろう。
技をつかうのは、直接の日月の下とは限らず、日月の見えない室内であっても、日月をイメージするか頭上に天を思えばいい。

この日月の気、天の気を無視すると次の宝である「天の呼吸」が機能してくれないので、日月の気は大事である。
お日様やお月様を見ると「天の呼吸」が自然と営まれるし、少なくともしやすくなる。
天の呼吸はである。“ア”の言霊での呼吸である。

その言霊が天、そして地にも結ぶ。この地に下りてきた気にのり地に下すのが「地の呼吸」である。布斗麻邇御霊のである。“オ”の言霊である。地をしっかりと踏む姿である。うぶすの社の構えになる。

しっかり地を踏んだ足から息を吐きながら腹中の気を━に返し、そして|に返す。である。これが「潮の干満」であると感得する。

この四つの宝で技をつかのである。この一つ一つの宝に確実に働らいてもらうことと四つが連携して働くことが大事である。
例えば、坐技呼吸法は誰もが苦労しているはずだが、この四つの宝でやれば上手くいくようだ。