【第934回】 一軸と三軸

合気道で技を掛ける場合、体を上手につかわなければいい技が生まれない。例えば、体幹を捻らないで面でつかう。体の各部位を腰腹と結び腰腹でつかう。このために体は面となり、軸とならなければならないことになる。
面をつくるためには『合気道の体をつくる』の「一刀流と二刀流で体と技をつく」で書いたように二刀流を持ち、つかうようにすればいい。肩と胸が張り、体が面になると同時に、力(気)が腹側の裏から背中側の陽に流れ満つのである。

しっかりした面ができれば軸ができる。体軸である。天と地を貫く軸である。
合気道の技をつかうにあたって軸には二つあると考える。一軸と三軸である。
一軸とは手と足と腹と顔(頭)が一本になる軸である。腹と顔が足にのり手先が腹と顔の線上を進む軸である。その例の写真を下に示す。顔と腹と足底の線上に手があり一軸になっているのがわかるだろう。

次に三軸である。左右の手と足の中間に手があり、腹が中心となって手が動くのが三軸と考える。技をつかっても腹と顔の両脇に手がある。一軸の手が顔の前にあるのとは違ってくる。その例の写真を示す。
有川定輝先生(上)と多田宏先生(下)の写真である。どちらの先生も大先生の直弟子であり、超人的な技をつかわれる先生である。ということは体を一軸につかっても三軸でつかっても強力な合気の力は出るということになるわけだから、自分に合った方をつかえばいいということになる。因みに私は一軸派である。
只、一軸と三軸をごちゃまぜにしてつかってしまうと力強い技は生まれないようなので注意がいるだろう。