前回、「手を腰にする」を書いたが、今回は予告通り、手を腰にするにはどうすればよいのかを書いてみることにする。
手を腰にし、そして手を腰としてつかうためには、また、それができるためには条件が幾つかある。
一つ目は、肩を抜くことである。肩がつまっていると、手から腰へ、腰から手への力の流れが止まってしまうので、手と腰は繋がらず、手が腰にならない。
二つ目は、手先と腰がつながっていて、切れないこと。手先をむやみに動かせば、その繋がりは切れてしまう。また、手先から動かせば、自分の腰だけでなく、相手とも切れてしまう。特に相手と接した瞬間には、自分の手と腰が結ばれていなければならない。初めは意識して、後では無意識でも、手先と腰が結ばれているようにすることである。
三つ目は、手の平がまっすぐ、まっ平らになること。指が曲がってまっすぐにならないと、腰には結びつかない。これは自分で試してみるとわかるだろう。摩訶不思議である。従って、技をかけた時に、手先がまっすぐでなければ、腰の力でやってないはずなので、技は効いていないということになろう。
四つ目は、手の平をまっすぐ、まっ平らにしても、腰までの関節や筋肉を固めないこと。力まず、固まらず、しかも自由に動かなくてはならない。これは表層筋ではなく、深層筋を使えということだろう。
五つ目は、手を折り曲げないことである。常に螺旋で、折れ曲がらないように、ロックして使わなければならない。
六つ目は、常に体の中心である腰から動くことである。末端の手から動かさないように、習慣づけるのである。手は体の中心線上にあるのが、基本であり、中心線上を上下するだけで、左右にずらさないことが大事である。
七つ目は、呼吸である。腰の息遣いに合わせて手をつかうのである。また、吐く息、引く息を間違えると、手と腰の結びは切れてしまう。
手が腰になったかどうかを確認するには、相対での稽古がよい。特にわかりやすい稽古だと思われるのは「片手取り転換法」であるので、それで説明して見る。