【第920回】 天地の呼吸、潮の満干で鍛錬する

開祖は「十字つまり合気である。天の呼吸即ち日月の呼吸、地の呼吸即ち潮の干満、と四つに分けている。この天と地の呼吸の交流を受けて、立派な人となることを目標に(十字つまり合気である)合気は鍛錬していく。」(武産合気P92)と云われ、天地の呼吸、潮の満干で技と体を鍛錬するのが合気道であると教えておられる。
この教えを理解し、技をつかえるようにしたいといろいろ試行しているところである。第909回では「地の呼吸・潮の満干で技を」という主題で、坐技呼吸法でこの技をつかえばいいと書いた。また、最近、体は、足→足→手、更に腹→足→足→手でつかうといいし、つかわなければならないと書いた。また、進める足は踵から地につけなければならない等とも書いてきた。

そしてようやくこれまでやってきた事が、天地の呼吸、潮の満干で技を生むに繋がってきたようである。
潮の干満を実感すべき、立ったままで足(左)→足(右)→足(左)→足(右)・・・と腹で調子を取りながら体軸を揺すると体が波のようになり、潮が満ち→潮が干ることを実感するのである。これが潮盈の玉(赤玉)と潮涸の玉(白玉)である。はじめは立ったままでやっていたが、この体の揺れに合わせて足を動かす(歩を進める)事が出来るようになる。更に、腹→足→足→手で手をつかえば、大きな力(赤玉、白玉)の力が出るようになる。これまで難しかった、正面打ち一教で打ち下ろされる相手の力を制し導ける強く粘力のある力が出るようになるのである。勿論、片手取り呼吸法、諸手取呼吸法もこれでやればいい。

潮の満干で技を生むためには更に次のような事を注意しなければならないようである。

  1. 潮の満干は地の呼吸である。地の呼吸は天の呼吸との交流によって機能するので、先ずは天の呼吸と結ぶことから始めなければならない。
  2. 足は踵から着く。
  3. 足は一本の軸になるようにしっかりした足にしてつかう
  4. 地を揺らし、揺れる感覚で足をつかう
  5. 腹で足、腹を足で拍子をとる
  6. 腹→足→足→手での二番目の足が地に着いてから手を出す
  7. 右手と左足、左手と右足を結びその結びが切れないようにする
天地の呼吸、潮の満干で技をつかっていくこと、これが天地の呼吸、潮の満干の鍛錬であろう。