【第348回】 妙技をつくるために

合気道の稽古を何十年も続けていると、壁にぶつかることがあるだろう。それまで技を覚え、相手を投げたり、受けを取ったりと、順調に稽古してきたのが、技が効かなくなって、相手が思うように動かなくなったり、体にも痛みが出てきたりすると、これからどのような稽古をすればよいのか、わからなくなるものである。

合気道は、始めるのは容易であるが、続けるのはそう簡単ではない。その理由のひとつに、合気道とはなにか、どのように稽古をしていかなければならないのか、が分からないからであろう。

迷ったら、開祖が書かれたり、言われたことをまとめた聖典である「合気真髄」「武産合気」を熟読することである。そこに、解決法があるはずである。

例えば、「合気道は自己を知り、宇宙万有の妙精を自己に吸収し、大宇宙の真象に学び、理を溶解し、法を知り、光ある自己の妙技をつくる道である」(「合気真髄」)とある。

つまり、合気道は、技をかけ合い、投げたり転んだりしていればよい、ということではない。もちろん、それも必要だが、上級者になれば、開祖がいわれたようなことを実行するように、心掛けなければならないだろう。そうしないと、壁にぶつかってしまうのである。壁にぶつかるというのは、先に進めないことであり、そして、正しい道を踏み外してしまうことにもなりかねない。

では、上記の開祖の言葉から、みんなが求めているような妙技をつくるには、どうすればよいかを検証してみよう。おそらく、この妙技の可能性が見えてくれば、ぶつかっている壁を突き抜け、さらに合気道を続ける助けになるはずである。

合気道の稽古は、

これらのことを学んでいくのが、合気道なのである。そして、これらのことができる程度に、妙技がでてくるし、光り方も違うということである。20年や30年の稽古では、十分なはずがない。壁などにぶつかっていないで、合気道の道に戻らなければならない。

※次回、このテーマをもう少し掘り下げて研究してみたいと思う