【第300回】 一霊の元の御親(道歌12)

合気道は「世界を和合させ、人類を一元(いちげん)の下に一家たらしめる道であり、神の「愛」の大精神、宇宙和合の御働きの分身・分業として、ご奉公する道である」と開祖はいわれている。また、「宇宙万有の世の進化は一元より発し、我らをして楽天に統一に和合へと進展させている」(「合気神髄」)ともいわれている。

現在過去未来の万有万物は、すべて一元よりできたもので、例外なくこの一元に繋がっている。この一元の本を親神様、大神様、天之御中主、ゴット等と呼んでいるのだろう。そして、一元は物体と精神などの二元を生み出していく。
開祖は、世の中が乱れたり、争いが起こるのは、人がこの一元の本を知らなかったり、忘れたり、または、この一元の本に繋がっていることを忘れているためだといわれる。それ故、一元の本を忘れるのは罪であるともいわれている。
合気道の鍛錬でも、一元の本を忘れていれば精進は難しいだろう。開祖はよく、技の鍛錬をする際は、天之御中主の神にならなければならないといわれていたし、ご自身も神楽舞などを通して天之御中主の神になられていた。一元に繋がり、一元の本と一体化されていたのである。
それ故、合気の道は宇宙の道であるともいわれている。合気の鍛錬は神業の鍛錬であり、これを実践することによって宇宙の力が加わり、宇宙と一体化できるという。それゆえ、一元の本を忘れれば、神業は難しいことになる。
一元の本の大神様を、開祖は道歌で下記のように詠われている:
一霊の 元の御親の 御姿は 響き光りてそ 生(な)りし言霊(ことだま)
(試解:神秘的な力をもつ一元の本の大神様のお姿は、言霊となって響き、光っておられる)

この歌から、一元の本の大神様に繋がるためにどうすればよいのかということが分かる。

つまり、一元の大神様は、響きと光の言霊になっているという。従って、この言霊が理解でき、感得することができれば、大神様と繋がることができるはずである。従って、言霊とは言葉の霊力ということではなく、宇宙の響きであり光ということになる。

一元の大神様からの響き、宇宙の響きを感得し、一元の下で神業を練磨し、そして、開祖が目指された、「世界を和合させ、人類を一元の下に一家たらしめるために、そして宇宙和合の御働きの分身・分業として、ご奉公」したいものである。

参考文献  『合気神髄』