【第940回】 原点に戻る 〜 一教運動
正面打ち一教に挑戦し続けている。これまで何度も上手くいったと思ったこともあったが、その喜びは打ち消されるの繰り返しで、また、今も挑戦しているのである。
上手くいかない、技にならない今の最大の原因は手・腕の弱さにあることがわかった。相手が力一杯打ち下ろしてくる手に対してこちらの手が十分対応できないのである。その為に強力な力が出るよう、腰腹から大きな力(気力)が出、折れない曲がらない手をつくらなければならない事になるわけである。
そのためにはどうすればいいのか、どのような稽古をすればいいのか考えた結果、一教運動(写真下)をすることにしたのである。正面打ち一教の動きは一教運動であるからである。一教運動が上手くできれば恐らく正面打ち一教が上手くできるようになると考えるからである。
一教運動は私が入門した頃は準備運動代わりに、技稽古の前によく行なわれていたが、当時は、ただの準備運動ぐらいにしか思っておらず、その意味や重要性を考えもしなかった。
一教運動については『合気道技法』(植芝吉祥丸著)にあるので省略するが、私が研究している一教運動を記す。
- 腰腹と手、足をしっかり結び、腹→足→手と手をつかう
- 水火で体と手をつかう。手は、上げるときは水で腹中に息(気)を膨らませ、引く時は火で腹中の気を萎める。
- 更に、この手を頭(顔)でもつかうと更なる力が出る
- 肩を陰陽で手をつかうと大きな力が出る。前の肩(陽)を陽から陰に返し、後(陰)の肩を陰から陽に返しその力を手先につたえるのである。
- 親指を体、手刀側を用につかう
−尺骨側を刃として表につかう
−手掌が張る
−手掌が伸びる
- 足は踵から着く→手先に腹→肩→腕→手先と力が流れ、集まる。因みに、爪先から着くと手先でつまってしまい腰腹から流れない。
これでどのような成果が出るのか楽しみである。
原点に戻る原点とは、稽古を始めた最初の原点ではない。最初の原点は何もわからなかった無垢の状態であったが、長年修業をしてからの原点は、これまで多種多様な技や動きなどを身に着けた状態で臨む原点である。
原点は基本といえるだろう。故に原点に戻ってできることは、基本に照らし合わせ、反省したり、修正したり、補充するなど出来ると考えたわけである。
それで過って稽古をした基本準備動作の内の単独動作での一教運動に行き着いたわけである。
昔から、迷ったら原点に戻るといわれているから、これからも時々原点に戻る事になるだろう。
参考文献 『合気道技法』(植芝盛平監修 植芝吉祥丸著 光和堂)
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