【第950回】 諸手取呼吸法は布斗麻邇御霊、アオウエイの言霊、三位一体、息陰陽、△○□でやる

本部道場で毎週水曜日に教えておられた有川先生は、合気の技は呼吸法が出来る程度にしかつかえないと言われていたので、それ以来、呼吸法を基本に稽古をしてきた。片手取り呼吸法を中心に諸手取呼吸法、坐技呼吸法を繰り返し稽古してきた。
お陰で、片手取り呼吸法と坐技呼吸法はまずまずのレベルになったのだが、諸手取呼吸法が中々上手くいかず苦労していた。何しろこちらの一本の片方の手を相手は二本の両手で掴んでくるわけだから、その力を制し、相手を導くのは物理的に考えれば容易でない事は明白である。よほど相手に力がないか、受けを取ってくれないかぎり、抑えられた手は動かないし、技にならないのである。

本格的な稽古、諸手取呼吸法の挑戦の始まりである。出来ない事を確認することから本当の稽古は始まるのである。一本の手では二本の手の力には物理的には敵わないということを確認するのである。そして一本の手で諸手取呼吸法を行わないで、他のやり方を見つけることである。つまり、相手の二本の手の力よりも強いものをつかうようにするのである。それは腹である。腹の力は二本の手の力より強いはずである。そこで手先と腹を結び、腹でその手をつかうようにするのである。腹の力は相当なモノで、相手の諸手の力も容易に制することが出来るようになったのである。これこそが合気の力と思いながら調子に乗って諸手取呼吸法をやり続けていると、腹で手をつかっているのに段々とその力も相手に制されてしまい動けなくなってきたのである。その原因を辿ってみると、相手も己の腹と手を結び、腹でこちらの手を掴むようになったことである。自分に知恵がつけば相手にも知恵がつくのは当然である。腹と腹の力の互角になったわけである。因みに、ここで分かった事がある。それは、こちらが上達すれば相手(周り)も上達する。こちらが力めば相手も力む。こちらは真面目にやれば、相手も真面目にやる。こちらが相手をやっつけてやろうとすると相手も反撃してくる等である。

この互角の停滞した状態は結構長い間続いたが、次の解決策が現われる。
それは気である。気が産まれるようになり、つかえるようになったことで諸手取呼吸法が進展することになったのである。魄が下になり、気が上になり、気の手で相手の手にくっつけてしまい、そして相手の身体を突っ張られてしまうようになったのである。大分、魄の力に頼らないようになったわけである。
お陰で諸手取呼吸法は大分上手くなった。己の心と身体がそう言っているのだ。もう一人の真の自分がいう事に間違いはない。少なくとも他人の評価より正確であり、信用できる。
しかし、己の心と身体、真の自分は、諸手取呼吸法はまだ不完全であるというのである。片手取り呼吸法に比べると諸手取呼吸法はまだそのレベルに達していないのである。まだ、何かが欠けており、何かを必要としているというのである。

この間、論文に記しているように、フトマニ古事記、アオウエイの言霊、息陰陽、三位一体などの研究をしており、大分会得出来てきた。これらは宇宙の営みを形にしたモノであり、宇宙の法則である。宇宙の法則は合気のすべての技や動きに合するので、当然、諸手取呼吸法にも該当するわけだから、これらの法則を取り入れて諸手取呼吸法をやればいいと考えたわけである。
まず、最初は、アメノミナカヌシの天、タカミムスビとカミムスビの地の三位一体で三角体をつくる。この言霊は“ア”“オ”である。“ア”“オ”で△が出来、“ウ”“エ”で○になり、“イ”で□になる。また、“ウ”“エ”では息陰陽水火となり、強力な陰陽水火の力が出るようになる。
多少相手が頑張っても、その力に負けない力が出るし技になり、相手も納得する力と技になるのである。宇宙の法則に則っているわけだから当然である。理合いの力での技でもあるという事でもある。

諸手取呼吸法は、布斗麻邇御霊、アオウエイの言霊、三位一体、息陰陽、△○□でやっていけばいいと考える。後は、これが基盤となり、その上に他の宇宙の法則を加えていけば更によくなるはずである。