合気道の技は宇宙の営みを形にした、宇宙の法則に合したものであるから、技を精進するには宇宙の法則を見つけ、そしてそれを身につけて行かなければならない事になる。従って、相手を倒そうとか、相手に負けないようとか等と相手を意識する稽古をするとそれが出来なくなるから駄目だという事になるわけである。合気道は相手との戦いではなく、己との戦いであるとはこういうことでもあるのである。
しかし、法則の発見は容易ではないだろう。経験上、道場で相対での稽古をすれば、相手を倒してやるとか決めてやろう等、どうしても相手を意識してしまい、法則を探し、そして発見するのは難しくなるのである。
故に、稽古相手を投げたり、押さえて喜んでいた時期には、法則の発見はほとんどなかったといえる。法則を発見するようになったのは、所謂、一人稽古である禊を始めてからである。
禊のはじめの方で正面打ち一教と片手取り呼吸法の単独動作を行っている。どちらも合気道の技の基本と考えている。基本と云う事は宇宙の法則が沢山詰まっているということである。実際、この二つの基本技からこれまで多くの重要な法則を発見したのはこれまで書いてきた通りである。