【第873回】 上達の段階

これまで合気道上達のために長年稽古をしてきたし、論文も書いてきた。稽古も約60年になるし、論文も800編以上になる。年が改まった事もあり、ここで上達についてまとめてみたいと思う。己がこれまで上達したとはどういう事だったのか、何がどう変われば上達と云う事になるのか等を顧み、自分なりの上達の段階をまとめるのである。

上達の段階は四段階とし、上達の内訳を、次元、身体づかい、稽古法、息づかい・呼吸、稽古相手や世の中を見る目、大先生の教え、剣・杖とした。
上達の段階を四段階にしたのはいいと思うが、上達の内訳に関しては、もっといい分け方があると思う。が、今回はこうなってしまったのでこれで行くことにする。また、第一段階は初心者・白帯、第二段階は1〜5段・・・は私個人の仕分けであるから、人によっては多少ずれがあるはずである。
また、第四段階は未踏であるので、予想と期待でもある。

合気道上達段階 2022.12

上達内訳第一段階第二段階第三段階第四段階
初心者・白帯1〜5段6〜7段8段以上
次元 顕界
目に見える次元

小乗
顕界
目に見える次元

小乗
幽界
目に見えない次元
魄/魂
小乗/大乗
神界
目に見えない次元

大乗
身体づかい
骨・関節
手を振りまわす
体の裏・陰

筋肉・筋
手を腹でつかう
体の裏・陰
気・流
血・液体・気
気で手をつかう
体の表・陽


魂で手が動く
体の表・陽
稽古法 物質的・肉体的
技を覚え、体作り
物質的・肉体的
相対的な稽古
精神的・心
自分を鍛える
宇宙精神・魂の学び
天地宇宙との一体化
息づかい・呼吸 日常の息づかい イクムスビ あおうえい言霊 阿吽の呼吸
稽古相手や
世の中を見る目
稽古仲間
只の草花
競争相手
俺の方が上等
自分の分身・師
花・自然・無邪気な子等に魅かれる
万有万物は家族
仲間であり家族と感じ、彼らのためにもいい世界を残さねばと思う
大先生の教え 余り興味がない 分からない 段々分かってくる 技でも現わせるようになってくる
剣・杖 只、振りまわす 自己流で力で振る 合気の理合いで振る 宇宙との一体化で振るようになる

この表につかわれている言葉は、これまでの論文で研究しているので、特に、解説しない。不明の場合は、その関係論文を見ればいい。

この「上達の段階」で重要なのは、合気道の上達にはやるべき事があり、それを順序よくやっていくことである。この表で後輩の技を見れば、その後輩がどの段階にあるかがわかるし、上達するには何が欠けているのか、どうすればいいのか等もわかるようだ。
合気道は科学であるといわれるのは、このリストのような事でもあるように考える。合気道の稽古も科学化することも必要であると思う。