合気道の技を稽古していると分かってくることだが、合気道の体ができてくるに従って、技は上達するものだ。合気道の体ができるということは、合気道で使う体の各部位がしっかり(強靱で柔軟)し、それらの各部位が連携し合って有機的に機能し、合気道の技に入り込める体になることだと考える。
合気道だけでなく、他の武道や武術でも、腰と腹は大事であるといわれている。腰腹がしっかりしていなければ、相手に弾き飛ばされたり、満足に立っていることもできなくなる。技の上手な人、試合に勝つような強い人は、腰腹がしっかりしているようだから、腰腹が重要であることに間違いはない。
しかし、腰と腹は後と前の縦の関係であるから、腰から腹へと力を出すと、主に前後の直線的な動きになってしまう。これは、合気道では、相手とぶつかってしまう動きである。
合気道の技は手を使ってかけるが、手はいくら振り回しても、まともに効くものではない。では、どう手を使って技を円くかけるかというと、腰と腹、それに尻と尻のつかい方にあると思う。
腰が中心になり、前後(縦)の力は腰から腹に流し、左右(横)の力は腰から尻(臀部)に流すのである。この二つの方向の力で縦横十字になり、〇(円)く力が流れ、円く動けるようになるわけである。
合気道の相対稽古で、例えば「諸手の交叉取り」をかけると分かるが、腰腹だけではとても無理で、尻からの円い力(遠心力)で決まるものである。
この腰腹尻尻四点セットを図に描いてみると、下記のようになるだろう: