【第230回】 虎の口
合気道での技の稽古では、指先を鍛えることも大事である。特に、相手を一教や二教で極め、そして押さえるためには、指先をしっかり締めないと相手に逃げられてしまうだけでなく、自分の指を鍛えることにならない。
しかしながら、相手に技を掛ける場合、はじめから相手の手や部位をしっかり握ってしまったのでは、技は効かない。技が掛からない原因の一つが、はじめから相手を握ったり、掴んでしまうことにある。
例えば、上手く技を掛けるためには、掴まずに、親指と人差し指を拡げた「虎の口」(虎口)でひっかけるようにして遣わなければならないことが時にある。
「虎の口」の重要性とその鍛錬法として、2000年5月24日に有川定輝師範は、次のようなプログラムで稽古をされたので紹介する。
- 片手取り入り身転換
― つま先から入って踵をついて転換
― 相手と平行でなく30度ぐらいの角度を保つ
― 腹のところで"クサビ"(虎の口)を鍛える
- 片手取り一教
― 充分相手の間合いに入る
― 持たせている手を足と一緒に斜め後ろに下げるが、手は反しながら伸ばし「虎の口」を拡げる
― 相手の方向に崩す
- 片手取り入り身投げ
― 首の押さえなどいろいろあるが、「虎の口」で押さえるやり方を示される、
― 崩しが大切(「虎の口」での崩しを示された)
- 片手取り小手返し
― 転換から反対側の手で"虎の口"を使って、相手の手首を"ヒッカケル"
- 片手取り回転押さえ
― 相手をヒックリ返すよう両手を使う
― 手を握らずに「虎の口」で相手の手を引っ掛ける
- 後両手取り"廻し投げ"
― 手を握らずに「虎の口」で相手の手を引っ掛ける
― 両手のコンビネーションをうまく使う
- 後両手取り一教
― 手を掴まない! → ヒッカケル
― ポイント(つぼ)をおさえる
「虎の口」が出来ているかどうかは、「虎の口」のかたちを見れば大体わかるようだ。このかたちも美しければならない。写真の有川師範の「虎の口」のかたちに近づくように頑張ろう。
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