【第227回】 柔軟な腰に
合気道は技を通して、体をつくっていくから、技をしっかり稽古しなければ合気道の体はできない。また、体ができていなければ、技もそれ相応にしかできないので、体もつくっていかなければならない。
腰は人の体の要であるから、体で最も重要な部位のひとつである。腰ができていなかったり、上手く機能しなかったり、遣えなければ、技は上手くいかない。
合気道では、腰をつくるためにもそれにふさわしい技や稽古法がある。かつて有川定輝師範の稽古では、師範は何も言われなかったが、どの時間も常にひとつのテーマをもって指導されていた。
1999年11月10日の稽古のテーマは、「腰を柔軟にする」であったと思う。
まず、有川師範は、「腰とは大腿部の付け根」であり、腰のつっぱりを取り、沈む腰にしなければならないといわれた。
そのテーマのために稽古をしたプログラムと師範が注意されたポイントは:
- 一教運動: 前後左右で切り返して行う一教運動での四方切り。腰が伸び縮みすると同時に、転換するので、腰は横にも練れ、縦横の運動で腰を十字に練ることになる。
- 諸手取り呼吸法:
― 右手と左足で前進、右足を相手の後ろに進め、腰をまわし
― 腰のつっぱりを取り、沈み、螺旋で立ちあがって倒す
- 正面打ち一教
― 手はソバ屋の出前の手(腰とつながるのでこれが強い)
― 手で掴まない
― 手で切りはじきとばさない
― 足はすり足で腰を沈める
- 横面打ち一教
― 真っ直ぐ進まず、斜めに進める
― 腰を沈めて相手の手をくっつける
- 横面打ち四方投げ
― 腰を沈めて相手の手をくっつけ
― 相手にくっついている手の平を上に向くように反(かえ)しながら、相手の手をひっかける。手を先に遣うのではなく、腰で操作する。
- 応用技(横面打ちを体捌きして、腕を押さえる、横面打ちの腕を上げて、もぐって投げる)
- 坐技呼吸法:手を先に動かさずに、腰を十字につかう
有川師範はこの時間、生徒たちが柔軟な腰をつくるために最もよいと思われた技を選ばれたわけだが、この他にも腰投げなど、まだまだ腰を柔軟にする技はある。理想としては、いかなる技をやっても、腰が柔軟になるように注意していくということだろう。
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