【第577回】  一元が二元を生み出すを技に

開祖は、「合気道は宇宙の真理に従い、万有の条理を明示することである」(「合気神髄」P.16)と言われる。合気道は宇宙の真理、つまり宇宙の営みを身に着け、それを技で示すことだといわれるのである。

また、そのためには、「合気道は自己を知り、大宇宙の真象に学び、そして一元の本を忘れないで、理法を溶解し、法を知り、光ある妙技をつくることである」(「合気神髄」P.17)と言われている。
つまり、それができるためには、まず己を知らなければならないのである。特に、己の使命を知ることである。そして大宇宙の営みを学びことである。一元の本から二元が生み出され、一霊四魂三元八力で宇宙が始まり、そして完成に向かう理と法則を知ることによって、光ある妙技が出せるといわれているのである。

開祖のお話や言葉は非常に難解である。恐らく初心者にはほとんど理解されないはずである。
難解な理由は、言葉が通常の意味と違うとか、日常つかわれないという意味で難解ということ、開祖の言われていることは宗教的で、実際に鍛錬する技とは関係ないと思ってしまうことだ、と考える。だから、『合気神髄』や『武産合気』で云われていることを、技にしてみようとは思わないのであろう。

しかし、最近やっとわかってきたのだが、開祖の難しく思えるお話や文章は、光ある妙技を出すために非常に関係あるどころか、開祖が云われる通りやれば光ある妙技が出るようだし、やらなければそれは出ないと思うようになった。

このページで開祖は更に、「一元の精神の本と物質の本の二元を生み出して理法をつくり、そして全宇宙を営み、天地万有に生命と体を与え、さらに万有愛護の大精神の達成の生成化育の大道を営むのである」と言われている。

このように開祖は、光ある妙技のために具体的に説明をされているのである。
まずは一元から二元を生みださなければならないのである。
この技づかいでは、例えば、片手取りなどで手を出して相手に掴ませる際、息を吐いて腰腹から出した手で相手の手と結んでしまい、そして相手と一体化することである。そして息を入れながら掴ませた手に気持ち(精神の本)を入れ気を流すと同時に、持たせた手に力(物質の本)を満たすのである。これで一元から二元が生み出されたわけであり、一元から二元が生み出される理法である。
ここから宇宙の営みに従って(例えば、陰陽、十字)体と技をつかえば、天地万有に属する「体と技」に生命が与えられ、それが「万有愛護の大精神の達成の生成化育の大道を営むようになり、そして光ある妙技になるといわれているのである。

坐技呼吸法や諸手取呼吸法、二人掛け諸手取呼吸法などは、この一元から二元を生み出す理法をつかわなければ、光ある妙技は出て来ないはずである。