【第929回】 スーウーアーオーエーイー

これまで布斗麻邇御霊とアオウエイ(下記)で技をつかってきた。






  アオウエイという言葉である言霊で技をつかうのである。
しかし合気道の教えには更なる言霊の言葉がある。スーウーアーオーエーイーである。

このスーウーアーオーエーイーで技をつかうと更に上手くつかえるだけでなく、技の理合い、体のつかい方の理合いがよくわかるのである。例えば、以前に正面打ち一教と片手取りの初めに出す手は同じであると書いた。つまりアオウまでは同じ動きであるということである。大きな発見だとは思っていたがどうしてそうなるのかは分からなかった。何故、そこから正面打ち一教では手が上がり、呼吸法では手が下がるのかということはわからなかった。法則が分からなかったのである。しかしスーウーアーオーエーイーによってその法則が見つかり、手も技も上手くつかえるようになったということである。要は大先生の教えである。

大先生はスーウーアーオーエーイーを次のように言われている。
「ス声が生長して、スーとウ声に変わってウ声が生まれる。絶え間ないスの働きによってウの言霊が生じるのである。ウの霊魂のもと物質のもとであります言霊が二つに分かれて働きかける。御霊の両方をそなえている。一つは上に巡ってア声が生まれ、下に大地に降ってオの言霊が生まれるのである。上にア、下にオ声と対照で気を結び、そこに引力が発生するのである。」(合気神髄P111)

スーからウーが生まれ、ウーが二つに分かれる。アーの上とオーの下である。これを図解すると次のようになる。
これで技をつかうにあたって問題が生じる。スーの扱いである。アオウエイのアーはなので腹、体を拡げ、膨らますことから始まるが、どうしても上手くウーにつながらずにいた。スーウーアーオーエーイーのスーからやると上手くいくようなのである。その理合いは次の大先生の教えにあった。
「宇宙の精妙を水火の根源の有様と私は考えている。もう一度説明すると、天もなく地もなく宇宙もない。何もない。無の極になると、自然にはりつめた大虚空宇宙が現われ、無の極が現われる。そして大虚空宇宙は自然に中央に中央にと動き集まって来て、太古の虚空をつくり、大虚空が地場となって一元の動きが生まれて来た。そしてポチ一つが現われたのである。」
つまり、技の最初は腹や体を拡げ、膨らませるのではなく、腹の中心に縮めるのである(正確には、その前に腹を中心に拡げ、膨らませていくとポチができる)。スーで縮め、そしてウーで膨らませるのである。ここからアーで手が上がり、またオーで手が下がるのがスムースにいくようになるのである。剣も居合も同じである。

もう一つのスーウーアーオーエーイーの宝がある。それは引力の発生があることである。アーとオーと上下に分かれるところで引力が出てくるのである。上記で大先生が云われている通りである。手をアーで上げるにも、手をオーで下げるにも、上と下が引っ付き合ってその引力で技をつかうのである。この引力は気であるから気を発生することにもなる。
スーウーアーオーエーイーも身に着けなければならないだろう。