【第893回】 剛柔流で技を生み出す

これまでは布斗麻邇御霊で技を生み出すように稽古してきた。七つの布斗麻邇御霊を初めの天之御中主神御霊から最後の大八島國御霊を十分に働いて貰う事によって技をつかうのである。一つでも御霊の働きが不完全だと技も不完全になるのである。
最近ようやく最後の大八島國御霊が働いてくれるようになり、技が合気道の技らしくなってきたように感じる。

大八島國御霊がつかえるようになると、新たな事が分かってきたし、他の御霊との違いや関係が見えてきたのである。これまでは各御霊を一つ一つ身につけるのでそのような余裕はなかったわけである。
尚、これは大先生が云われている事でも教えでもない、私個人の考えであるから何の確証も保証もないことを断っておく。
御霊は御玉である。布斗麻邇御霊には三つある。である。
大先生が云われる、赤玉、白玉、真澄の玉(塩盈珠、塩涸珠、風の玉)である。この玉に神習い禊をする、つまりみそぎの技をつかわなければならないと教えておられるのである。また、塩盈珠、塩涸珠、風の玉は松竹梅であり、△○□であるという。
ここから何を言いたいかと云うと、合気道の基本技(一教、四方投げ等)はすべての七つの布斗麻邇御霊をつかうだけではなく、その中の三つの玉でも技を生み出すことができるということである。
何故、これらの玉で技を生み出すことができるかというと、すべての玉には縦横十字の気が働いているからである。縦と横の十字に気が働けば技になるわけで、これが十字道といわれる合気道だろう。

この玉のは、吐く息で腹中に横・縦の気を巡らせる玉である。腹が中心になる玉である。は、引く息で胸中に縦・横の気を巡らせる玉である。胸が中心になる玉である。は、引く息で頭中に縦・横・斜(自在)に気を巡らす玉である。頭が中心になる玉である。
この三つの玉、つまり腹、胸、頭で技を掛ける事ができるということなのである。

それでは腹、胸、頭で掛ける技はどのように違うのかというと、所謂、剛柔流の違いであると思う。つまり、剛の技は腹から、柔の技は胸から、流の技は頭でということだと仮定してみたのである。
腕力や体力が出しやすいのは腹である。腹は魄力の源である。息を吐いて力を出すことになる。相手を弾き飛ばす力になる。これが剛であり、腹は剛となる。逆に云えば、腹で流の技は難しいということである。

胸は息を引き、胸中の縦横の気で力を出すことになる。吸うう息は火であり、強力な力がでる。相手を吸収したり、相手に結びつく引力が生み出される。これが柔であり、胸は柔となる。

頭はと一緒になったものだから、腹と胸の力の合体した強力な力が生じることになるはずである。頭をつかって技を掛けると腹や胸での技とは異質な事を感じる。自由自在に手や体が動くのである。頭が働くと、首から下の体は柔軟になり、自在に働くようになるのである。頭の働きで流の技がつかえるのである。頭は流なのである。頭で剛の技は難しいはずである。

これまで剛柔流に何度か挑戦してきたわけだが、これまでは剛柔流とは何かということに支点を置いた。今回は剛柔流の技をどうすれば生み出すことができるかを書いたつもりである。