【第872回】 2023年の抱負

合気道の上達のために努めてきたつもりだが、まだまだだ。しかし、お蔭様で上達するためにはどうすればいいのかわかってきた。端的に云えば、目標を持ち、それに向かって進む事である。目標がなければ、どの方向に向かえばいいのか、何をすればいいのか等分からない。また、それが分かったとしても挑戦しなければ上達はない。
そこで更なる上達のために、今年の修行の目標「2023年の抱負」を考えてみることにする。

今年は三つの事に挑戦したいと思う。
先ず一つ目は、「魂」への挑戦である。昨年は息(呼吸)、気がわかり、つかえるようになったようなので、今年こそ「魂」の力で技をつかえるようにしたいと思っている。大先生の教えである「合気道は魂の学びである」を実感したいのである。

二つ目は、人の技から天地・宇宙の技へ変換することである。人の技とは人工的であり、意識でつかっている技である。これまではこの人の技をつかっていたわけだが、これを天地・宇宙の技へ変えたいということである。天地・宇宙の技とは、自然で、無意識の技である。人間相手ではなく、天地・宇宙相手の技づかいであり、天地・宇宙との一体化への修行となるはずである。

三つ目は、己の稽古から後進のための稽古である。これまでは自分のための稽古で背一杯だったが、これからは合気道を精進している後進のためにも頑張らなければならないということである。これまでの己の精進に加え、後進のためにもなるような稽古・修行に努めることである。これまでよりも密度の高い修業となるだろう。
後進のために頑張るとは、一般的に教えるということであるが、稽古をしている本部道場では先生のような教え方はできないし、やろうとも思わない。それでは一般稽古人として後進に何を、どのように教える事ができるかということになる。それは一つしかない。道場稽古では、常に自分の最高の技をつかうこと、そして一生懸命に稽古することである。最高の技、一生懸命な姿が最高の教えと思うからである。大先生も有川定輝先生も道場で技を示された際、常に最高の技を示されておられたことを思い出す。最高の技を一生懸命にやっていれば、精進しようと思っている後進には参考になるはずである。後進はそれをその後進達に伝えていけばいい。
勿論、それを見せよう、見て貰おうとするのではなく、見られても恥ずかしくないよう、参考にしても問題ないように稽古をしなければならいという事である。また、後進にどんな質問をされても答える事ができるようにしたいし、技が上手くいかない場合のアドバイスも間違いないように出来るようにしなければならない。
これまで大先生や先生や先輩等から学んだこと、これまで身につけたもの、見つけたものなどを後進に伝えていきたいと考えている。

この他、道場の稽古の外では、毎週、四編の論文を書いている。「合気道の思想と技」「合気道の体をつくる」「合気道上達の秘訣」「高齢者のための合気道」である。これも引き続き書き続けていくつもりである。休みなく、そして内容が濃くなるようにしたいと思っている。