【第806回】 森羅万象は武道における大なる教え

武道で技をつかうには体がしっかりしていなければならない。しっかりした体とは、地に足がしっかり着き、体がふらふらせずに安定し、そして強力な気や力が出るような体であると考える。
これまで長年に亘って、技を練る稽古をしてきたわけであるが、まだまだ不完全であるため、技も不完全であると思っている。合気道の技は宇宙の法則に則ってつかわなければならないので、体にもその法則に従って働いてもらわなければならない。この法則は宇宙規模の数があるはずで、人がそのすべてを身につけることは出来ないと考えている。従って、大事な事は、少しでも多くの法則を身につける努力をすることであると思っている。

体が十分にしっかりしていないことに気がついたわけであるが、この問題に気づくことが大事であると思う。相対で技を掛けて上手くいかなかない場合は、必ず問題があるわけで、その技をうまくつかうためにはその問題解決が必須であるからである。
問題を見つけたら、次はその問題の原因がどこにあるかを見つけることである。そして、その主な原因は、手と足の付根にあることがわかったのである。つまり、手と足の付根がまだ十分に強靱ではなく、虚弱であるということである。
それでは、何故、手と足の付根が十分に強靱でなければならないのかという問題が出てくる。残念ながら、この問題の答えは無いようだし、誰も教えてくれないようだ。しかし、有難いことに教えてくれるものがあった。それは森羅万象である。

蛙の手と足の強靱な付根
大先生は、「合気というものは、森羅万象どんなものでも、極意に取り入れなくてはならない。取り入れるのではなく、教えを受けなくてはならぬ」(合気神髄P.58)と教えておられる。恐らく、これからも多くの難問に遭遇するだろうが、森羅万象に教えを受ければいいという事になるはずである。

原因が分かれば、今度はその解決法を身につけることである。手と足の付根を強靱にすることである。詳しいことは、別に書くことにするが、簡単に言えば、息と気に合わせてそこを強靭にしていくのである。相対稽古で技と体をつかう時は無論の事、剣の素ぶり、柔軟体操、外での歩行などで意識して鍛えていくのである。息はイクムスビや阿吽の呼吸や布斗麻邇御霊に合わせてやればいい。

合気道の修業は、道場での相対稽古での技の錬磨も大事だが、これからは、それを土台にして森羅万象から大いに教えを受けることになるようだ。大先生も、「武道をやるからといって、武道のことばかりを考えてはいけない」(合気神髄P.59)と戒められておられる。