【第607回】
つながる稽古
合気道は習い事である。習い事にはこれで卒業ということはない。最後まで習わなければならない。最後までとは、お迎えがくるまでとか、体が動かなくなるまでということである。
また、誰に習うかというと、天であり、宇宙であり、神様である。
多くの人が合気道に入門しているが、最後まで行かずに、途中でギブアップしているようである。それには色々な事情があるだろう。経済的な事情、家庭的な事情、仕事上の事情、身体的な事情等‥である。
それらの問題に負けずに、合気道の稽古を続けるためには、つながる稽古をしなければならないと考える。逆にいえば、つながらない稽古をしていると、ちょっとした事情で、稽古をやめてしまうことになると思う。
つながる稽古には次のようなモノがある:
- 明日につながる稽古:
今日の稽古は、昨日の稽古を土台とした稽古であり、そして明日につながるべき稽古でなければならない。新しく見つけた技、技に空いている穴(不完全な箇所)を埋め、不十分な箇所を補強・修復するのである。
従って、今日出来なければ、明日に緒戦すればいい。
稽古は積み重ねである。一日一日と稽古を積み重ねていくのである。明日に、10年後、20年後につなげていくのである。だから、今できなくともいい、次にできればいいわけである。
- 未来につながる稽古;
合気道は地球天国・宇宙楽園を建設するお手伝いをしているわけだから、その未来の目標につながる稽古をしなければならない。この未来とつながらない稽古をしていれば、稽古の意欲は徐々に消えていくはずである。
また、今と未来がつながるためには、今と過去もつながらなければならない。先人たちがつくられ、錬磨された武術ともつながり、学ぶべきことを学び、今の稽古に取り入れていき、そして大事な事は未来につなげていかなければならない。
- 後進につながる稽古;
稽古をするのは己のためであるが、自分の学んだことを後進につないでいかなければならない。合気道は無限にある宇宙の法則を見つけ、技にして身につけていくわけだが、一人でそれをやっても、たかが知れている。
みんなでそれをやっていくのである。一つでも多くの宇宙の法則がわかれば、合気道はどんどん深まり、世間に更なる影響や感動を与える事ができるはずである。
- 天と地につながる稽古;
ちっぽけな人間の中で、ちっぽけな人間相手に稽古をしていても面白くないし、稽古の限界にぶつかるはずである。
天と地と共に稽古をすれば、己の想像以上の力を出せるはずであり、どれだけの力が出せるかも未知数なので、稽古に感動と期待が持てる事になる。
- あらゆる時間と空間につながる稽古;
あらゆる時間と空間とは宇宙ということになるから、宇宙とつながる稽古をしなければならないということである。
時間的には、例えば、侍の時代とか100年後、地域的には、日本だけではなく外国や地域でも通じる稽古をしなければならないということになる。
これを開祖は、合気道には時間も空間もないといわれている。
今の相手だけには効くが、外国の稽古人には効かないような稽古ではだめだということである。また、昔の武人や未来の人に恥ずかしくない稽古をしなければならない。
このように、つながる稽古をしなければならないと考える。そうしないと、途中で稽古を止める事になるはずである。
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