【第365回】 合気の道を究める順序
多くの人が、合気の道を究めたいと稽古に励んでいる。その最終目標は宇宙との一体化であり、そしてその道をやまびこの道という。このやまびこの道がわかれば卒業、と開祖もいわれている。
しかし、この最終目標にいくのは容易ではない。夢や希望は待たなければならないが、それを実現させるためにはやるべきことがあるし、また、やる順序があるはずである。
開祖は合気の道を究めるためには、修行の順序があると次のように言われている。
「合気の道を究めるには、まず真空の気と、空の気を性(さが)と技との結び合わせ、食い入りながら技の上に科学をもって、練磨するのが修行の順序であります」(「合気真髄」)
もし開祖に一歩でも近づきたいと願うなら、この開祖の言葉に従って修行しなければならないことになる。難解な文章であるが、逃げたらなにも得られないし、前に進めない。やまびこの道を断念することになるだろう。
ものごとは何事も、実力程度にしか解らないものだ。だから、今の自分のレベルで解釈するしかないだろう。後日、また違う解釈ができるかもしれないが、今の時点で上記の開祖の言葉を解釈してみたいと思う。
- 「合気の道を究めるには、まず真空の気と、空の気を性(さが)と技との結び合わせ」、とあるが、まず、「真空の気」とは、宇宙の万物を生み出す根元であり、宇宙に充満している宇宙エネルギー。「空の気」は、重い力や引力をもつ物のエネルギー。大地、森羅万象のエネルギー(気)。
「性」とは、人が生まれながらに持っているもの、ということであるので、ここでは自分の心と体、その器官や機能等などということになるだろう。
つまり、まずは、宇宙のエネルギーと大地のエネルギー、森羅万象のエネルギーを自分の心体に取り入れ、そして、それを技に結びつけるのである。
- 次に、「(真空の気と、空の気を)食い入りながら技の上に科学をもって、練磨する」であるが、この解釈は、この宇宙の法則に則って働いている真空の気と、空の気のエネルギーや法則性を、少しでも多く技に取り入れて行くべく練磨するのが科学であり、技の練磨ということである、とする。
合気道を究めるためには、まず、真空の気と、空の気との存在に感応し、そのエネルギーと法則を技に取り入れていく、科学的な技の練磨をしていかなければならないことになるだろう。
参考文献 『合気真髄』
Sasaki Aikido Institute © 2006-
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