【第906回】 体を気で満たして

「第858回 体を気で満たして」で記したように、体の気を満たして技をつかうように稽古をしてきた。そして更にいろいろなことがわかってきた。
まず、気で満たさないしぼんだ体で技をつかっても、いい技にならないことは確かである事を再確認したことである。気が満ちるということは気が張るということであり、体が気で張るということになる。体が気で張れば気で膨らむことになり、体が大きく見えたり、膨らんで見えるようになる。他人からは目には見えなくともそれを感じることになる。強そうだとか、怖そうだ等である。
体とは体幹、両手、両足、頭である。これらのすべての部位(体)に気を満たし、気を張るのである。
体幹、両手、両足、頭に気が満ち、気が張ると体はひとつになることになる。手も足も頭も腰腹(体幹)の結びつき、一つの塊となる。故に、手先で触れれば、腰腹で触れたことにもなり重い手となるし、腰腹で手を自由につかえる事にもなる。

体を気で満たさなければならないが、体を気で満たすためにはどうすればいいのかということになる。二つの方法があるようだ。
一つは、布斗麻邇御霊とあおうえいの言霊である。天之御中主神御霊で、アと息を吐きながら腹中に気を集め、体を気で満たすのである。
二つ目は、息(気)を履いて腹中を萎めて気を腹に集め、引き続き腹を支点として腹中を拡げる。腹中が拡がると仙骨が緩み、体重の関節も緩んで体中い気が満ちる。手先から気を出していくと仙骨からの気と繋がり、体は気で満ちやすくなる。

体が気で満ちると、胸が張り、背筋が伸びる。技はこの状態でないと効かない。力(気力)が出ないし、力が戻ってきてしまうのである。故に、技を掛ける際、胸が張って、背筋が伸びているような姿勢になっているかチェックすればいい。体が気で満ちているかどうかがわかることになる。つまり、外見によって、目に見えない体中の気の有無などがわかるということである。

体を気で満たさなければならないのは合気道の技づかいだけではない、剣を振る場合も必須であるし、居合で刀を抜く場合も必須である。