【第854回】 足首で足の十字を

合気道の技をつかう際は、左右の足を十字々につかわなければならない。後ろ足と前足が横と縦と直角、十字になりながら進むのである。
しかし、足を十字にしてつかうのは意外と難しい。そもそも足を十字につかおうと気をつけて、技をつかっていない。多くの場合、左右の足が直角の十字ではなく、平行になっている。

左右の足を十字につかうためには、前回の『第853回 足の親指が中心』で書いたように、足の親指(親指と母指球)をつかわなければならない。そして足の親指をつかって左右の足を十字になるように稽古をしていくと、十字をつくるのは足首ではないかと感得することになる。
足首をつかうとは、足首の下の踵、母指球、親指をつかう事になる。
足首をつかうとは、足首を縦と横の十字につかうということである。
足首を縦につかうとは、足底が地に着いた時は足(体)が縦に下り、その足が地を離れる時は横に膨らむ。縦で縮んで横に拡がると縦の十字になる。
足首を横のにつかうとは、足低を踵⇒母指球⇒親指と体重を移動させて地に着き、爪先(母指球、親指)と腹を結び、腹で足の十字をつくることである。
要は、足首はこの縦と横の組み合わせでつかうことになるわけである。

それでは何故、足は直角の十字にならなければならないかということになる。合気道は十字道ともいわれるように、十字が重要であるはずだが、具体的な理由があるはずである。足を十字につかえるようになってくるとそれが実感出来るようになったのでそれを記す。
前足の爪先方向(縦)に対して後ろ足は横となり、十字になる。横になる後ろ足は土台となり、体と前足を前に進めるが、この横になる後ろ足が前足方向と十字になると腰腹と結び、大きな力が出るのである。アイススケートの十字になる足をイメージするといい。
また、両足が陰陽十字になると手も陰陽でつかえるようになる。因みに、正面打ち一教が上手く出来ない原因は二つ目の手が、折れ曲がったり、弛んで十分な力が出ないことであると思うが、この原因もこの足首による足の十字が上手く出来ていない事にあると見る。

足首を鍛えて、足の十字ができるようになると、足の十字は、足首以外でもできるようになる。つまり、膝でも、腰でもできるのである。しかし、初めから、膝や腰で足の十字をつくろうとしても難しいようだ。まずは、足首で足の十字をつくるのがいいと考える。