【第800回】 イの言霊と頭

これまで布斗麻邇御霊の運化をアオウエイ五声の言霊で、息と体と技をつかう稽古をしてきた。前回は、エの言霊までいったので、今回は五声の最後のイの研究ということになる。
まず、これまでのおさらいを簡単にすると、「アーで天之御中主の神になり、天地・宇宙と一体化する。次に、オーでタカミムスビ・カミムスビの神になって、地を踏み、地と結ぶ。下肢が鍛えられる。ムーで息を吐きながら、腹中の気を横⇒縦⇒十字に働かす。腹が鍛えられる。吐いていた息をエーで吸い、胸中の気を縦⇒横⇒縦と動かす。胸が鍛えられる。」と書いた。
そうすると残りはイーということになる。

エーから引き続き息を引いていくと、気が胸中から首を通って頭に流れ、イーとなる。下からの縦、頭の中で横に流れ、頭が気で満ち、非常に爽快になる。これが頭のカスを取る頭の禊ぎであることを実感する。
尚、ウーの研究までは、イーの役割と重要性をよくわからなかったので無視していた。つまり、エーとイーではなく、エイと一緒にしていたのである。
しかし、イーがしっかり働かなければ、体も技を上手く働いてくれないことがはっきりしたわけである。

イーと気を頭に入れたなら、それを出さなければならない。合気の技をつかったり、剣をつかうとそれがよくわかる。
イーと息を引き乍ら、頭の中の気を縦に落すと、体の下肢、腹、胸と頭の気が一つになる。これを布斗麻邇御霊の形ではとなる。技は頭で掛けると以前書いたが、これが頭をつかうということである。

繰り返すが、この頭の禊ぎは心の禊ぎである。オーとムーとエーは下肢、腹、胸の肉体を鍛え、禊ぎするが、イーはアーと共に、心を禊するということである。
つまり、布斗麻邇御霊とアオウエイにより、体の下肢、腹、胸、首、頭を鍛え、禊ぐことができると共に、頭、心を鍛え、禊ぐ鍛錬ができるということである。
肉体的な鍛錬と精神的な鍛錬の両面を兼ね備えているのである。恐らく、他にはないものだろうと思う。これでこれからの稽古も続けて行こうと思っている次第である。