【第799回】 エの言霊と目

第797回の「ウの言霊」に引き続き、アオウエイのウの次のエ声、布斗麻邇御霊の伊予の二名島の次の筑紫島を研究してみたいと思う。
これまで書いてきたように、アオウエイと布斗麻邇御霊で技、体、息、気をつかうようにしてきた。最も苦労したのがウでのであった。これがある程度できるようになると、不思議とそれまで出来ていたと思っていたができていないことがわかったのである。
までは息を吐くが、で息を引くに変わるのだが、この吐くから引くの切り替えが自然にいかないのである。相対稽古で技をつかう際も上手くいかないし、剣を振るにも息や気が切れたり、止まってしまうのである。これでは武道的に隙ができてしまうので、何とかしなければならないと、息づかいをいろいろ試してみた。

結論からいうと、この問題の解答はすでに大先生の教えにあったのである。レベルが低かったためにその教えに気づかなかったのである。
大先生は、「ウ声をよびながら下顎へつき、杙(くい)の如く食い入れしめれば、ふさぎ切った目が裏に開く。自然とエ声となるべし。」(武産合気P.30)と教えておられるのである。
つまり、ウ声の吐く息を引く息のエ声に変えるのは目であるということである。“目を裏に開く“のである。確かに、目を上手くつかうことによって、吐く息から引く息に自然にかわるものである。“目を裏に開く“を上手く説明できないし、これがそうだろうともまだ自信を持っては言えないが、ウ声がエ声に自然にできたときが、“目を裏に開いた“はずだから、それをやればいいということになる。

この目で、吐く息を引く息に変えてつかえるようになると、技が変わってくる。二教裏のような極め技はしっかり極まるようになるし、また、諸手取呼吸法でも強力な力が出るようになるようだ。更に、剣を振るにも切れ目なく、自然に、そして強力に振る事ができるようである。
ウの言霊をエの言霊に自然に変えるためのポイントは目にあるのである。