【第782回】 心は丸く体三面に開く

合気道で技をつかう際は、「心は丸く体三面に進んでいかなければならない」。確かに、この教えで技をつかわなければ合気の技にならず、別のモノになってしまうわけだが、自分の経験から、これに中々気づかなかったり、またどのような意味なのか、どのように体や技をつかえばいいのかが分からないものである。

この「体三面に開く」が、最近ようやく少し分かりかけてきたようなので、出来るところを書いて置くことにする。
まず、分かった事は、心は丸く体三面に進んでいかなければ技にならないことである。合気道の技になるためには、心を丸く体三面に開いて進んでいかなければならないのである。
次に、「心は丸く」という意味と、体三面との関係である。
心を丸くするためには、体が丸くなる、つまり、腹中が丸くなることである。体を丸くするのは天の御中主神になることである。そしてから高皇産霊神・神皇産霊神両神合体の御霊に移っていき、三位一体となる。気はちょうど、三角法になる。(合気神髄P.146)
この構えを合気道では“三角体”という。「合気道ではこのように構えた場合、その態勢は常に“三角体”にならなければならない。この“三角体”とは、最も安定した、立体的ないわゆる正三角四面体のことであって、転ずれば安定した球体となるものである。“右構え”は“左構え”の正反対となる。」(合気道技法 P.42)との教えである。

しかし、「合気道の構えは、『心を丸く体三面に開く』である。体三面は、物と心の始まりある西北(乾)に体面を、前足を東北、後ろ足を西に位置する構えである。」という。
つまり、上記の三角体で各面が西北(体面)、東北(前足)、西(後ろ足)となるということになる。

「心を丸く」は先述した通りであるので、「体三面に開く」を研究してみることにする。二つのポイントがあるだろう。一つは、“体三面”であり、もう一つは“開く”である。
体三面は上記にあるように、腹(体面)と前足と後ろ足を三つの面での正三角四面体である。三面ではなく四面になったのは底の面を加えているからと考える。

次に、“体三面に開く”の“開く”である。いろいろと技で試しているが、“開く”感覚は上記の“三角体”の態勢をつくることだと思う。無秩序な態勢だったり、一重身や真向いなどの態勢ではなく、三角体の態勢をつくることであると考える。これを通常、半身になると言っているものである。
三角体(半身)をの後に?げてつくると、体面を中心に、前足、後ろ足の面が開き、次の伊邪那岐神のにつながり、次の技に進んでいくのである。

「心は丸く体三面に開く」の“心は丸く”と“体三面に開く”は連動していることになり、この両方で技をつかう際の初めということになるわけである。何事も、初めが肝心であるから、この「心は丸く体三面に開く」技をつかう上で必須ということになるはずである。