【第717回】 手と足の一体化

これまで一教、特に正面打ち一教は合気道の極意技であるはずだと言ってきたが、それを最近更に確信することになった。つまり、この正面打ち一教には更なる大事な技、法則が秘められていることが判明したのである。この大事な技とは、この技無くして正面打ち一教は上手くつかえないし、他の形につかえば更にうまくいくものである。基本中の基本の技と、どの形(小手返し、入身投げ等)にも欠かせないものであると考える。

それはこれまでも取り上げてきた技(法則)であるが、今思えば表面的であって、あまり真剣に取り組んでいなかったものである。

その技は、“手と足の一体化”である。これまでは、同じ側の手と足が動くよう、ナンバの動きになるのが手と足の一体化として書いてきたわけだが、これを更に深めなければならないのである。
次の写真を見て欲しい。

有川定輝先生の正面打ち一教である。
左の写真は、受けの打ってくる手に右手で相手の手と十字に交差し、相手に体重を掛けたところである。右手先と右足としっかり結び、右足からの力と天からの右手の力が腹を通して結んでいることが分かる。

右の写真は左手が陽になり相手の肘を抑え、左の足としっかり結び、左の足から力が左の手先に伝わっているのが分かる。

左の写真を更に良く見ると、右手と右足が陽(働いている)でしっかり結んでいるが、この右手先は反対の後ろ足とも陰で結んでいるのが分かる。
また、右の写真でも、左手と左足が陽で働いており、右手と右足が共に陰となるが、肘を抑えている左手と前にある右足も結んでいるのが分かる。
更に、左右の手、そして左右の足も共に結び合っているのである。

つまり、左右の手と足は、陰陽で結び合ってつかわなければならないという事である。上記左の写真を図式してみると下記のようになろう。
上記の写真のような態勢にするのは容易ではないはずである。
阿吽の呼吸で、腰腹を十字につかわなければならないからである。そしてこの二カ所で相手と十字になるように稽古をするのである。この二カ所の十字が出来れば正面打ち一教は大分上手くいくようである。これが出来ると他の形の技も変わってくる。これはMUSTであると言えよう。