【第670回】 居合腰

魄が土台になり、魂魄が一体化し、魄が下で魂が魄を導く研究している。
呼吸法を何度も何度も、試行錯誤しながらやっている。お陰で何とか格好がつくようになった。諸手取の二人掛けもある程度出来るようになった。

これまでは呼吸法で手を掴ませてからやった。
手を腰腹から出して相手に掴ませて、結び、一体化して相手を導いた。
しかし、これではまだまだ不完全であることが分かってきたのである。
まず、ひとつ足りないのは、相手に掴ませる以前が欠けていることである。
二つ目は、掴むのではなく、正面打ちなどで打ってくる相手の手を受ける、己の手先に体重がのらないことである。

この不完全さは、正面打ち一教などでわかる。手を掴ませた時は、魄が土台になって、魂で相手を導き、倒すことが出来るが、正面打ちで打ってくる相手の手に対して、魄が土台、つまり、相手に接している手先に、片手取り呼吸法のように己の体重がのらないのである。それに相手とくっつかないのである。
だから、手の力と勢いで一教をきめることになるわけである。

手先に己の体重がのらないのは、腰腹と手先がつながっていない、切れているということである。手先と腰腹を結んで、相手が打ってくる手と接しなければならない。しかし、手を腰腹と結び、腰腹で手をつかっても手先に体重はのらないのである。

この問題を解決したのが、居合の剣、居合の体づかいである。
合気道の動きは剣の理合であるといわれる。先代の吉祥丸道主は、「剣の道に経験のある人が合気道の動きを見ると、必ず剣の動きと同一である、と言われる。なるほど、合気道のどの技をとりあげてみても、剣の理法との一致点を見出すことができる。・・・合気道の技の半分は刀剣を使用しての技であることを知っておくべきである。(合気道技法 P.252)」と言われているのである。
居合も剣道と同じく、剣の道であるから、居合の動きと同じでもいいということになる。

腹が前に出、腰が外側に反転すると、手が真っすぐ前に出ながら、正中線上を上がるので、この手で相手の手を迎えるのである。この手先には腰腹の力がのっており、非常に重い手である。(写真)片手取り呼吸法と同じように、この手で相手を押し潰すこともできる。

有川定輝先生 正面打ち一教
この居合腰の手は、呼吸法などでの手を掴ませる場合にも有効であるし、恐らくこれでやった方がいいだろう。勿論、どちらの場合も、陰陽十字の法則でやらなければ上手く行かない。

剣の素振りだけでなく、居合で腰を鍛え、手を鍛えるのもいいだろう。剣もそうだが、居合も己の合気道のレベルでできる。合気居合ということになる。