【第922回】 天之御中主の頭

魂の技をつかおうと悪戦苦闘している。焦らずにひとつひとつ積み重ねていく外ない。真剣に取り組んでいると何かが導き、助けてくれるはずである。これまでの経験、体験からそう信じている。信じるのは己とその導きと、助けをしてくれる何かをである。
今回は、今朝の禊での何かからのものである。頭を上手くつかえと云うことである。これまで姿勢や体の動きが不安定だし、十分な力、つまり満足できるような力が出ないので何とかしなければならないと思っていたが、頭を上手くつかえばいいという思いが浮かんだのである。

頭で身体を安定する事を考えてみた。身体の安定は、大地を両足で踏んだ状態での止まった状態での安定と身体を動かしている状態での安定がある。合気道では技を掛ける際の安定があるが、これは上記の二番目の身体を動かしている状態での安定と一緒と考えていいだろう。
まず、止まった状態での身体の安定である。 合気道の教えによれば、天之御中主神、高皇産霊神、神皇産霊神として天地と結んで立つことである。

頭は天と結んだ天之御中主神、左右の足は高皇産霊神、神皇産霊神となり、地と結ぶのである。身体は天と地と結び安定するのである。これまではこれを意識しないで立っていたが、意識するのとしないのでは雲泥の差である。
言霊あおうえいや布斗麻邇御霊の息と気を使えば更に効果的だ。

次に、技を掛ける際の身体の安定である。
技を掛ける前、動く前も三神の三角で安定体勢を取り、そこから動き始める事になる。
身体を安定させて動くには、天之御中主神の頭にしっかり働いて貰わなければならない。極端に云えば、頭で技をつかうということになる。頭で足をつかい、腰腹をつかい、手をつかうのである。これまでは腰腹で身体をつかうとしてきたが、その上に頭がきたわけである。頭は、何せ宇宙の中心である天之御中主神に対応する身体の中心なのである。従って、頭は、天之御中主神が宇宙の中心にあるように、常に身体の中心になければならない事になる。
以前「第284回 頭」で、アレクサンダー・テクニーク(Alexander Technique)という心身の学習方法で、「有機体は全体が一つとして働くわけだが、頭と首と背中の関係が、有機体全体に、その姿勢や健康に対して、最大の影響を及ぼす」と書いた。頭が身体全体に、また姿勢や健康、それに勿論、技づかいにも最も重要であるということである。
具体的に云えば、頭は身体の一軸の上にある、なければならないということである。一軸上に頭があるから、頭と共に手が返り、腹も足も返るのである。そして動く身体も安定するわけである。

これまで手鏡をつくるとか、足→足→手で技を掛けるとか、頭で手を先導するとか、顔と腹は一緒に動くとか、軸から軸に動くとか等書いてきたが、結局は頭を天之御中主神としてつかうということになるだろう。