佐々木合気道研究所

【第915回】 踵→母指球→踵

これまで足のつかい方も研究してきた。合気道は法則を見つけ身につける科学である。合気道は昔の武術と違い、科学すれば誰でも身につける事ができる新の武道と考える。
これまで体のつかい方を研究してきたが、振りかえってみると足のつかい方の研究もしてきている。足のつかい方にも法則があり、それは次のようなモノであった。

• 足は陰陽につかう：
  人間の足は左右二本あるが、この足を右→左→右・・・又は左→右→左・・・と規則正しくつかわなければならないということである。働く前足が陽、後に次の働きのために控えている足が陰である。人は此の陰陽の足で普段は歩いているのに、技をつかう際にはこの足の陰陽の法則を無視したり、乱してしまうので、いい技が生まれないのである。
• 足→足→手の順でつかう：
  正面打ち一教は合気道の基本中の基本技であると考えるが非常に難しく手強い技である。この正面打ち一教が多少出来るようになってくると、何故この技が上手く出来なかったのかが分かってくる。その出来なかった理由の一つが、この足づかいと手づかいだったのである。上手くいかない場合は、足→手だったり、又は足もつかわず、手だけだったりしていたのである。正面打ち一教（右半身）は、先ず後の左足から前の右足に重心を移動しながら右手（陽）を上げる、足（左）→足（右）→手（右）の順となり、次に重心が落ちている右足から左足に重心が移動しながら左手（陽）が上がり相手の二の腕を押さえる。足（右）→足（左）→手（左）の順になる。更に重心が掛かっている左足から右足に重心を移動し右手も陽にかわる。足（左）→足（右）→手（右）の順になる。以下同で技を収めればいい。
• 体の表をつかう：
  歩行も同じだが、合気道の技をつかう場合も足を上手くつかわないと体は安定しないし、力も出ないだけでなく体を壊すことになる。例えば、これまで書いてきたように、体の裏をつかっていると膝を痛め、そして腰を痛める。体の裏をつかうことは体の前面、つまり、腹、膝、足の先をつかうからである。故に、体の表である腰、背、足の踵をつかうのがいいと書いてきた。

ここまではこれまで研究したことをまとめたものであるが、更に新たな足づかいの法則を見つけたので記す。
体の表を極力つかってきたが、どうも万全の体という感じはしない。つまり、安定さもいま一つだし、力も十分出ないのである。何かが足りず、不足していて、何かを補充しなければならないと思ったのである。

その答えは、これまでの表の体づかいだけでは不十分であること、裏の体づかいを合わせてつかわなければならないということである。今回のテーマは足であるので足に関して云えば、足の陽の働きをする踵だけでなく、陰の働きをする母指球も共につかうということである。母指球に体重がのると体の裏となる腹、胸、顔面などに力が漲り、踵からの力が体の表の腰、背、後頭部に張り、体の裏と表が力で満ち、体が表裏一体の一つの塊になるのである。

母指球と踵のつかい方である。母指球と踵のつかい方の法則がある。
母指球と踵は陰陽で働くようにつかわなければならない。陽は先述のように働く部位で体重が載る部位。陰は次の働きのために待機していて体重が掛かっていない部位である。
母指球と踵の働きを図で表すと次のようになる。

　母指球→反対側の足の踵→同じ足の母指球→反対側の足の踵・・・

これで正面打ち一教や片手取り呼吸法をやるのである。大分上手くいくようである。また、踵→母指球→踵→母指球の足のつかい方が身につけば、更なる足の法則が見つかるような気がしている。先ずは一つ一つ身につけて行けばいいだろう。