【第911回】 手と足の動きの法則

これまで体のつかい方は大事であると、手、足、腰、腹、頭(顔)を鍛えたり、つかい方を研究してきた。お陰で大部分の体の部位の働きや鍛え方やつかい方が分かってきたと思う。
しかし、これまでの体のつくり方は各部位の単独であった。手なら手、足なら足という具合である。だが、体をつくり、鍛えていくと体の各部位は単独で動いているのではなく、他の部位と結び、連動して働いている事を実感するようになる。非常に複雑で文字で書き切ることは今のところ不可能であるが、体のつかい方は重要と思うので、先ず今回は、手と足をむすび、一対となっての動きについて書いてみたいと思う。

手と足の動きには法則があると考える。この法則で技つかうと上手くいくし、法則違反をすれば技にならないから、法則があると考えたわけである。よって、法則ならば誰がやってもいい技が生まれるはずであるし、法則違反をすれば技にならない事になる。
正面打ち一教や片手取り呼吸法(右半身)でこの手と足の動きの法則を書いてみる。

  1. 右手と右足は前にあるが、手側の足に重心がある手は動かない(上がらない)から、動かす手は反対の足で手をつかう。左の後ろ足から体が右の前足に移動し地に着き、若干遅れて手が出る。この手の動きは横の動きである。この手は相手が打ってくる手を制する手である。左足⇒右足⇒右手の動きとなる。
  2. 地に下りた右足で地を蹴るようにし、左足を地に着け、そして左手を伸ばす(押し込む)。この手は縦の動きで強力である。この手は相手の二の腕を抑える手である。右足⇒左足⇒左手と動く。
  3. 十分押し込んだら、右足を横に進め、右手を相手の腕に沿ってずらす。
    左足⇒右足⇒右手と動く。
  4. 右足に体重を移動し、手もそれに従う。
  5. そして右足に体重を移動して右手で相手全体を引き出すようにし、
  6. 両手両足で収める。
つまり、足⇒足⇒手・・・・という順で、手足を連動してつかうということである。足の前に手からつかえば動けなくなったり、力が出ないのである。因みにこの手足の動きは通常の歩行である。自然な動きであるから難しくないはずである。宇宙の法則なら複雑怪奇な動きではないはずである。

この手足の動きは正面打ち一教だけに該当するのではなく、片手取り呼吸法もこれでやらなければ上手くいかないし、他のすべての技で通用するはずである。また、杖や剣の素振りでもこの足手の順と連動でやるといいようなので、これは手と足の動きの法則であると考える。
これからこの手足の動きの法則を他の技で応用するとともに、手と足以外との動きの法則も研究したいと思う。