【第815回】 仲良く付き合っていく

年を取ってきて、後期高齢者になってくると、体のどこかにガタがくるようだ。いくら合気道の稽古をしているからといって、完全無欠の体を保つことは出来ない。
ガタがくる箇所は人によって違うようだが、共通するような箇所もあるようだ。ガタは合気道の稽古とは無関係な日常生活からくるものと、合気道の稽古によってくるものがあるだろう。日常生活で同じような体づかいの間違いをしていれば、その人たちには共通のガタがくるということになるし、合気道の稽古で同じような間違いをすれば、合気道においても同じく、共通のガタがくることになる。日常生活の共通のガタには足や腰の衰え、合気道での共通のガタとしては、膝や腰を痛めるガタが典型的であろう。
日常生活からのガタを解消するために、合気道の稽古に通う人もいるだろう。また、合気道の稽古をしていたためにガタがくることもある。もし、再起不能なガタだとしたら悲劇である。もし、合気道の稽古をしていなければそのガタが来なかったわけだからである。例えば、腰を痛めたり、膝を痛めるガタである。

80歳になったが、ガタがきていることを実感するし、これからガタが増えたり、ひどくなっていくだろうと思える。若い頃は、ガタが来ても稽古で消滅してきたが、今はその元気もないし、体の復元能力も低減しているのを実感する。
それではガタがきた後期高齢者はどうすればいいのかということになる。合気道の稽古ができれば、日常生活は問題ないので、合気道の稽古でガタをどうするかを検討することにする。

肩が痛くて上がらないとか、腰が痛くて回らないとか、膝が痛くて屈伸ができないなどのガタは程度の差はあれ、後期高齢者には必ずくる。言葉をかえれば、後期高齢者になれば必ずガタがくるものと云う事である。先ず、この事を肝に銘じることである。若い頃は、ガタなどを感じなかったし、ガタがあっても気にせずに稽古をしていたので、後期高齢者でガタを感じると驚いたり、失望してしまうからである。
ガタがあるのは当然だと思えれば、次はそのガタをどう対処するかということになる。二つの対処がるだろう。一つは、そのガタを何とか消えてもらうようにすること。ガタの原因を調べ、解決法を見つけ、それを実行するのである。合気道の教えに従ってやれば、大体のガタは消滅するようである。例えば、体を正しく陰陽十字につかう、イクムスビや阿吽の呼吸で体をつかう、布斗麻邇御霊の気に従って、己の気で体と心をつかう等である。
もう一つの対処法は、そのガタと仲良く付き合うことである。消えてくれないガタがあれば、そのガタを認め、そのガタに負担を掛けたり、暴れさせないようにし、他のモノがそれをカバーしたり、代わりの働きをするようにすればいいということである。例えば、腰が痛ければ、股関節をつかうようにするとか、息や気で腰もつかうようにするのである。
もし、それも上手くいかなければ、合気道の稽古は続けられないことになる。