【第480回】  技の基本の基本

合気道を半世紀以上続けているが、ようやく合気道がわかりはじめてきたようだ。やっと合気の道にのり、出発点から目標に向かって進み始めたわけである。ここからが本格的な稽古に入れるわけである。

これまで稽古を一生懸命やってきたつもりだったが、大きい遠回りをし、無駄をやってきたことが分かる。もちろん、これらの遠回りや無駄は意味のないことだったのではなく、大いに意味があると信じている。無駄に意味があるというのは、これから錬磨していく技には直接表れないだろうが、技の裏に潜む陰の部分となり、技の陽と表裏一体である、と考えるからである。

それでは、もし合気の道にのった今の自分が、無駄なく、そして遠回りせず、合気道の稽古を新たに始めるとしたら、どのような稽古をすればよいかを考えてみたい。これは、もしかすると合気道を始める人の参考になるだろうし、特に、ある程度稽古したが、壁にぶつかって悩んでいる人の参考になるのではないかと思う。

合気道は、初心者も上級者も、基本技(型)を繰り返し稽古し、精進している。この技の錬磨を通して上達するわけであるが、ある時点でその上達が止まってしまう。これが、壁にぶつかるということであろう。

この壁をぶち破り、精進を続けるためには、原点に戻って、技の基本の基本を身につけなければならないと思う。これが身につけば、合気の道に乗ることができるし、道を進むことができるようになるはずだから、上達につながると思うのである。

身につけなければならないその基本の基本と、それを身につけやすい技(型)と思われる稽古法を書いてみる:

1.手先と腰腹を結ぶ稽古

2.手足を陰陽に規則的につかう稽古 3.手・足・腰を十字につかう稽古 4.生結びの息づかいの稽古 これが、私が考えている技の基本の基本である。これを身につければ、必ず上達するはずである。ただし、上達の程度は本人の努力と才能にもよる。

また、この4つの基本の基本は第一段階のもので、最低限身につける基本であると考える。当然、次の第二段階の基本の基本があることになるが、まずはMUSTと思うこれらの第一段階の技の基本の基本を身につけなければならないだろう。