【第878回】 宇宙との一体化

合気道の修業の目標は宇宙との一体化である。宇宙の心になり、宇宙の営み・動きができるようにする事である。宇宙の心とは宇宙楽園建設であり、宇宙の営み・動きとは一霊四魂三元八力、水火陰陽の仕組み等であろう。
宇宙と一体化するために、合気道では宇宙の営みを形にした技を練って身につけようと稽古をしているのである。これを大先生は、「合気道は、宇宙、全人類を大きく和と統一に結び、一体となす本来の道である。」(合気神髄P.43)と教えておられる。

宇宙との一体化とはどういうことなのか、確認したいと思う。合気道の稽古では技を通して宇宙との一体化を図っているわけだから、何はともあれ、技が宇宙にならなければならない。弱い者に効くとか特定の人に効くというのではなく、誰にでも、何処でも、いつの時代にも通用するということである。時間と空間を超越し、現在だけでなく、過去の人でも、未来の人たちにも通用する技ということである。過去の武人や未来の武人にも笑われないような技ということである。

宇宙とは地球上の時間と空間を超えているから、地上での人間相手の技づかいを超越するはずである。
ふと思った事だが、マンガや映画に出て来るようなタコのような宇宙人に合気の技が掛かるのかということである。合気道の技は宇宙の営み・法則に則っているわけだから、宇宙の万有万物に適用出来なければならないからである。しかし、タコのような軟体生物の手に二教を掛けても効くとは思えない。しかし、それでは合気道は地球上の人間にしか通用しないのかということになる。

技を掛けるだけが合気道ではない。一体化は技や体だけでなく、心でもできる。過って大先生が北海道で修業中、熊と仲良くなり、熊が帰る時は大先生にお辞儀をしたと言われている。これも宇宙との一体化の合気であると思う。大先生は熊に合気の技を掛けていないはずである。しかし熊とは心が通じ合い仲良くなったのである。これも一体化の合気であると考える。
これは人と動物の一体化の話であるが、このような例はまだある。仏教の世界では仏さまと動物や植物が仲よくしている。一体化しているわけである。例えば、孔雀にのった孔雀明王、象にのった帝釈天、蓮の花にすわったお釈迦様等など幽界の仏の世界では、人と動物、植物は一体化できるということである。これも仏教の教えだろう。

大先生は熊とは合気の技の稽古をしなかったが、一体化できた。一体化するため、仲良くなるために技は必要なかったということである。更に、もう少し空想を膨らませてみると、もし、熊が合気道に興味をもって、大先生と技の稽古をしたいと望めば、大先生は熊と技を掛け合う稽古をやられたと思う。大先生には大いに勉強になるはずだからである。もちろん間違いなく、壮絶な稽古になっただろう。

さて、タコの宇宙人である。これで宇宙人とも一体化することは出来ようである。技を掛けずに、宇宙の心で接するのである。宇宙の心、宇宙楽園建設の心はタコの宇宙人も持っているはすだから、この宇宙の心であればわかり合え、仲よく一緒に宇宙生成化育をしようとなるわけである。