【第873回】 高齢者の体の要リニューアル
「第870回 今年はいい年だった」で予記したように、今回、高齢者には体のリニューアルが必要なことを書くことにする。
人の体は年とともに衰えていくわけだが、その衰えを抑えたり、出来れば向上させようといいわけである。若い内は、走ったリ、筋トレをしたり、運動をしたりして衰えを抑えたり、体の向上を図る。しかし、高齢者になると、体の衰えは気づかないうち進み、気がついた時には相当衰えていることになる。歩いていてつまずいたり、足が上がらなくなったり、手が上がらなくなったりするようになる。
そこでその衰えを何とかしなければならないと対策を講じるわけだが、それがなかなか上手くいかないのである。上手くいかない原因は、若い頃やってきたやり方でそれに対処しようとすることである。結論から云えば、高齢者の衰えの対策は、若者がやるものとは別だということである。
それでは高齢者の体の衰えを防ぎ、体の再生(リニューアル)を図るためにはどうすればいいのかを、いち合気道家の体験から書くことにする。
- 高齢になると、先ず足が思うように上がらなくなるが、この主な原因は、足の筋肉の衰えの他に、足の裏(脛側)をつかって歩いているからである。故に、足の表側(もも、ふともも側)をつかって歩く事と、その筋肉を鍛えることである。そのために歩く事、階段を上り下りすること、また、家では踏み台等を上り下りするといい。
- 平衡感覚が乱れる。ズボンや靴下など立って履くとふら付く等である。この対処法として、四股踏みがいい。また、この四股踏みの要領で歩いたり、階段を上り下りするといい。
- 関節が固くなる。人体には多くの関節があるが、出来るだけすべての関節を柔軟にしなければならない。手ならば、各指の三つの関節、手首、肘、肩、胸鎖関節があるが、これらすべてを柔軟にするのである。柔軟にする方法は、イクムスビの息づかいである。イーと息を吐きながら柔軟にしたい部位を伸ばし、クーで横に拡げ、そしてムーで更に伸ばすのである。十字の息づかいである。
- 筋肉も硬くなるので、上記の関節同様、イクムスビで柔軟にするのである。若い頃に息を吐きながら力でやっていたのを、年を取ったらそれを息に換えなければならない。そうしなければ、筋肉も関節も柔軟にならないどころか、痛めたり破壊してしまう。
- 六根の衰え。眼や耳や鼻なども衰える。合気道の稽古などで新陳代謝をよくすればいい。つまり、人の心身の衰えの元凶は体を動かさない事にあると思うので、体を動かすことが大事であるということである。しかし、一人で体を動かすのは長続きしないなど難しいので、合気道の道場などで仲間達と体を動かすのがいいということになる。
六根の衰えを抑える、出来れば六根を向上させるためには“禊ぎ”をすることである。眼を洗う、耳を清める、鼻を洗う等である。六根を大切にすることで、六根と仲よくなれ、こちらの願いも聞いてくれるようになるはずである。
- 頭の衰え、ふらつき。一度、まともに歩けなくなるような頭のふらつきに見舞われた。原因はわからない。風邪なのか、コロナなのか、コロナの予防接種なのかわからないが、いずれにしてもひどい頭のふらつきであった。肉体的な原因のふらつき、例えば、筋肉や関節等なら気持ちで何とかなるが、頭は思うようにならない。気持ちではどうにもならないのである。
そこでその頭のふらつきを直すべく方法であるが、ふらつく頭を天の気、天の呼吸に合わせた息の中に入れたのである。すると頭は天の気と天の呼吸(息)と一緒になり、ふらつきが大分改善されたのである。そしてこれを繰り返している内に、頭のふらつきはよくなったし、また、再発した際は、その頭を天の気と天の呼吸に合するようにしている。
高齢者になれば必ず体に異変が起こる。衰えである。この衰えは若い頃のやり方では解消することは難しい。高齢者の方法でやらなければならないということである。若い頃と高齢者では体力、気力など違ってくるし、体のつかい方も違っている。例えば、若い頃は力に頼る稽古をするものだが、年を取ったら体力も気力も減じてくる。従って、高齢になれば、体のつかい方は変わらなければならない事になる。若い頃の肉体的な魄の力から目に見えない力である。息や気や魂の力である。これらの息や気や魂の力をつかうためには体の表をつかわなければならい。若い頃は、主に魄の力をつかうわけだが、これは腹などの体の裏をつかっているのである。つまり、若い頃と高齢者では体のつかい方が逆になるわけである。故に、このために高齢者になれば、宇宙の知恵と変換の勇気が必須なのである。
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