【第857回】 天地人和合の理

合気道が何か、何を目指しているのか段々とわかってきた。また、合気道を精進するためには合気道の技を更に錬磨しなければならないことを痛切に感じるようになった。
何をどうすればいいのかは、誰も教えてくれないのでこれまでと同じようにすればいいと思う。自分の体と心が教えてくれるはずである。

最近、気になり始めた事で改善しなければならないことができた。何かが足りず不足しているのである。
それは、先ず己のつかう技が小さく、こせこせしているということである。もっと雄大に、悠長に技も体もつかわなければならないし、つかいたいと思ったことである。合気道の技は宇宙の営みを形にしたものだから、宇宙的に雄大でなければならないはずだからである。
次に、激しく動いて技をつかうと頭がふらつき、体も不安定になることである。

そこでこの問題をどう解決するかとなるわけである。問題を解決するにあたって、これまでの体験や知識から次のことがわかっているので、慌てる必要はない。一つは、問題を見つければその問題は８割がた解けたといえることである。前からいっているように、問題の最大の問題は、何が問題なのかが分からない事であるからである。二つ目は、その問題に真剣に取り組むと、己の心と体が解決に導いてくれることが分かっているからである。三つ目は、ほとんどの合気道に関する問題の解決の鍵が大先生の教えの中にあるからである。『武産合気』『合気神髄』にあるはずなのである。

この問題の解決のキーワードは“天地人和合の理”ということになる。これで雄大な技がつかえ、頭も体も安定するはずなのである。
“天地人和合の理”とは、技をつかう際、己と天と地を結ぶということである。天の気、地の気と自己の気を気結びするのである。
また、天の息、地の息と自己の息を合わせることである。これを大先生は「天地万有は呼吸（いき）をもっている。おのが呼吸の動きは、ことごとく天地万有に連なっている。」と言われている故に、天地の息と己の息は結ぶことができるのである。
また、大先生は、「合気道は天地人和合の理を悟ることです。宇宙の真理のごとくは技に表わすことができます。」と、技をつかう際には、“天地人和合の理”を悟らなければならないと教えておられるのである。

それでは“天地人和合の理”の天地人和合をどのように技に表していくのかということになる。天地人の気の和合と息の和合、つまり天地人の気と息の結びをどうすればいいかということである。
その答えは、布斗麻邇御霊とアオウエイに則った気づかいと息づかいであると考える。布斗麻邇御霊の天之御中主神御霊と大母音（親音）アオウエイのアで天と結び、そして布斗麻邇御霊の高皇産霊神・神皇産霊神合体の御霊と大母音のオで地と結ぶ。これで天地人和合になる。
この天地和合は縦と横の十字の姿であり、これが天の浮橋となり、また、「うぶす」の社の構えともなり、技を生み出す土台となるわけである。
また、天と結ぶ（和合）することによって、頭と天が繋がり、頭が天と共に働くことによってふらつきがなくなる。合気道家だけではなく、一般の高齢者の方のふらつきも、これで大分解消されるのではいかと考えている。

これで大きな技づかい、ふらつきのない体づかいができるようにしようと考えているところである。