【第780回】 布斗麻邇御霊で技を

これまでの研究から、真の合気道、魂の学びに入るためには、布斗麻邇御霊を技に現わしていかなければならないことが分かった。
大先生は、「合気は布斗麻邇(ふとまに)の御霊の姿を現すのであります。これをことごとく技にあらわさなければならないのであります。」と教えられているのである。
布斗麻邇とは大宇宙の法則であり、御霊とは、魂の尊敬語で、荒魂・和魂、奇魂、幸魂などの魂の様相のことである。
布斗麻邇御霊の図像は下記の通りである:

この御霊を技にどのように現わしていけばいいのかを、今後、研究しなければならないのである。
非常に広大無辺であり、繊細微妙でそう簡単にはいかないと思うが挑戦するほかないし、始めるほかない。表面的で大ざっぱなことから始めることになる。
 
先ず、布斗麻邇御霊でこれまで分かったことを記す。 この七つの御霊で技を現わすのである。今回は初回と云う事で、基本的なつかい方になる。特に、息づかいを中心に研究してみたいと思う。

は、天之御中主神御霊である。阿吽の呼吸のアーで息を吐いていくと腹中にポチが現われる。これが天之御中主神である。キリスト教のゴット、仏教の阿弥陀仏である。
まずは、天之御中主神になって宇宙の中心に立つことである。

は、高皇産霊神・神皇産霊神、両神合体の御霊である。
天之御中主神になって更に息を吐いていくと、体が地に結び天に結び、しっかりした体が出来る。そして技の発兆の土台ができる。つまり、ここまでは、技をつかうための土台であり、準備段階ということである。
故に、の段階で技をつかおうと手足を動かしても技にならない。また、でしっかり天之御中主神として宇宙の中心に立たないと、次のの段階に移れないし、天地と結べなく、しっかりした体ができず技にならない。

は、伊邪那岐神の御霊である。火にして陽神である。
は、伊邪那美神の御霊である。水にして陰神である。
両神が誘い並び天の浮橋をつくるのである。
伊邪那岐神で息を吐きながら、腹中で横に息を引くと天の浮橋の━の(ハシ)となり、伊邪那美神で息を吐きながら、腹中で縦に息を吐くと天の浮橋の(ウキ)となる。ここで大事な事は、横→縦に腰腹も手も動かさなければならないことである。これを縦→横でつかうと体は働いてくれないし、体を壊すことになる。柔軟体操でもこれでやらないと体は固まってしまい、柔軟にならない。

は、伊予の二名島である。
この御霊は、伊邪那岐神のと伊邪那美神の|の組合う形。
から更に腹中で息を吐いていくと、吐いている息が引く息に自然に返る。そして次のに繋がっていく。□は引く息である。これまで吐いてきた息が引く息に変わるのである。

は、筑紫島である。
ここからは、更に息を引くことになる。息を引き乍ら、腹中では息を引き、そして息を吐き十字にする。息を引くだけで中に十字がなければ形にならないし、技にならない。

は、大八島國である。
前の息を引くの形に息を吐いてを載せ、の形をつくり、技を収めるのである。技の最後の形である。

これまで稽古してきた合気道を土台にして、布斗麻邇御霊を技で形作っていく真の合気道に進んでいくのである。今後は、この布斗麻邇御霊をもっと深く掘り下げ、もっと細かく観察し、それを技に取り入れていきたいと思う。