【第748回】 三元八力の技

剣の素振り、それも剣をつかわない素振りをしていて三元八力とはこういう事かと気がついた。剣をつかわなかった為に分かったようだ。
剣の素振りは形の上では非常に単純なので、只振っていては面白くないし、長続きしない。しかしこれまで飽きることもなく、その上もっとやらなければならないと思うのが不可解であったが、その理由が現われたようである。
それは剣も三元八力で振らなければならないという事である。

三元とは、気、流、柔、剛であり、八力とは動、静、解、疑、強、弱、合、分(開祖の言霊)である。
つまり、剣を振るにも三元の気、流、柔、剛と八力の動、静、解、疑、強、弱、合、分で振らなければならないという事である。剛剣、軟剣、流剣(流れるような剣)・気剣を自由につかえるようにすることである。

そして更に、剛剣、軟剣、流剣(流れるような剣)・気剣に八力を加えて振るのである。素早い動きと静かな動きの動・静の剣、伸ばす剣と縮める剣の解・疑の剣、強く打つ剣と弱く打つ剣の強・弱の剣、絞る剣と緩める剣の合・分の剣であると、考える。

大先生は、「自分で八大力の修行をして、陰陽を適度に現わし、魂の霊れぶりによって練磨し、この世を浄めるのです。」と言われているのである。
この三元と八力を自由自在に組み合わせてつかえるようにしなければならないことになるわけだから、剣の素振りでもそれを身に付けるのは容易ではない事になる。只振るだけではもったいないわけである。

剣で三元八力の修行をしたならば、杖などの得物でもできるようにすればいい。そして又、徒手による相対稽古の技づかいを三元八力でやるのである。相手によって、三元八力のつかう構成を変えたり、調整するのである。相手により、場合々々でいろいろな稽古ができるのである。何時も同じような技のつかい方では上達はあまり期待できないし、面白くもないだろう。
大先生は三元八力を理解できなければ、本当の力、つまり真の合気道の技は出て来ないと次の様に教えておられるのである。
「一霊四魂三元八力や呼吸、合気の理解なくして合気道を稽古しても合気道の本当の力は出てこないだろう。」