【第720回】 次の教えが控えている

今回の上達の秘訣だけで720回書いているし、他の3つの論文を合わせると約2900編にものぼる。が、これは書いた数をどうこう言っているのではなく、書くたね、つまり書くテーマが尽きないことに感激しているのである。
書き始めの最初の頃は、書きたい事が数編、数十篇待機しており、テーマ、テーマが書いてもらうのを待っていたような状況だったが、その時期が過ぎると何を書くかと、書くテーマを探すのに苦心したものだ。
また、この頃は、何かいいテーマに出会い喜んでいると、もしこのテーマを書いてしまったら、この後いいテーマが出て来ないのではないかなど心配したものだ。
しかしこの心配は杞憂であることがわかったし、出て来ないかも知れないという心配の理由と解決法も分かってきた。

話は簡単である。問題も解決法も稽古にあるのである。一生懸命に稽古をすれば書きたいテーマなどいくらでも出てくるのである。真剣に稽古をすれば必ず問題にぶつかる。課題が出来る。その課題を解決して会得すると次の課題が出てくるという流れになっているのである。

合気道の課題は、教えであり、理であり、法であるから、それを会得すれば上達することになる。しかし、課題には出てくる順序がある。出会った課題と一つ一つ真剣に向き合わなければならない。一つでも避けて通れば先に続かないのである。
小さな課題から大きな課題になっていく。また、同じ課題でも、ある時期にはこれまでと異なる次元の課題が出てくるのである。それを解決するためには、これまでの延長線上の稽古ではなく、異質というよりこれまでと正反対の稽古をしなければならないことになる。例えば、これまで培ってきた腕力や体力を直接つかわずに、他の異質の力をつかうわなければならなくなるのである。

前述したように、自分が見つけた課題を大発見と思い、この教えを身につけてしまうと、後はやることがなくなってしまうのではないか等と思うかもしれないが、どっこい違う。
一つの課題を解決すると必ず次が控えているのである。どうも課題は無限に連なって控えているようである。まるで鶏のお腹の中にある卵のようである。

課題を解決し、教えを会得するのは、本人の能力と努力と運によるであろう。能力と運はどうにもならないが、努力は本人次第である。
課題にどんどん出会い、解決の努力をし、次の課題に挑戦していく他ないだろう。次の教えが控えているのだから、種が尽きることなど心配せずに挑戦することである。