【第33回】 高齢者が物事に打ち込む姿は素晴らしい

最近テレビ等で90歳、100歳の方々が活躍されている姿を見る機会が多いが、見るたびに感動する。町工場で機械をつくったり、大病院で医師として働いたり、絵を描いたり、観客の前で楽器を演奏したりする一生懸命な姿は素晴らしい。

若い人もアマやプロとして頑張っているが、高齢者に比べるとあまり感動できないのは何故だろう。むしろ、かえってその若者を心配してしまうのだ。この若者はこれからもずっと続けていけるのかとか、一生をこの道に賭けられるのか、他のものに興味をもたないのかなど等。

そこへ行くと高齢者は安心して見る事ができる。医者にしろ、画家にしろ、または音楽家にしろ、それはその人の集大成だからである。そして、これからも体が言うことをきくかぎり続けるだろうし、ますます研鑽を積むことだろう。

高齢になると、最早、他人との戦いや比較ではなく、自分との戦いだけとなる。活躍している高齢者の話を聞くと、それまでの人生経験からの素晴らしい知恵や哲学を教えられる。

若者の人生経験はまだまだである。まだまだ他人を意識しているし、他人との競争に主眼を置いている。

素晴らしいものをつくったり、演じたり、仕事をする人は、それなりの素晴らしい知恵、哲学、思想、知識などがある。逆に言うと、それらが素晴らしいものをつくったり、演じたりしているのだろう。これは長い人生を経験した高齢者にしかできないだ。

90歳、100歳で人に感動を与えられるような合気道ができたら、素晴らしいことである。