【第924回】 一年を振り返って

これを書いているのは2023年12月後半であるが、公開は2024年1月初めとなる。故にお題の「一年を振り返って」の一年は2023年ということになる。
言い古しているが、一年の経つのは早かった。年を取る毎に更に、言うなれば加速度的に早まるのを実感する。あっという間の一年であったが、年も終わりにある処で一度立ち止まってこの一年をちょっと振り返ってみた。

この一年の総評はいい一年であったということになる。その最大の理由は自分自身が大分変ったことである。自分が変わったということは己を取り巻く世界も変わったという事である。以前には出来なかった事が出来るようになったり、見えなかった事が見えるようになったり、分からなかった事が分かるようになったわけである。このように己が変われば、周りの世界や社会も変わって見える。これまで気付かなかった価値に気がついたり、何故世界で争いが起こるのか、争いを無くすにはどうすればいいのか等々である。そして争いが起こらない楽園を建設するためのお手伝いをしなければならないと再確認したのである。

最も自分自身で変わった事は己の合気道である。今は合気道が中心の生活をしているのでこれが一番うれしいことになる。他のどんなことより嬉しいことになるわけである。
それでは合気道で何がどう変わったかというと、先ず、「気」というものが多少分かるようになり、つかえるようになったことである。多少というのはまだ十分ではないということであり、まだまだ不十分にしか分からず、つかえないということである。しかし、この多少が重要なのである。何故なら、“多少”は“全然”とは異質的な差、雲泥の差があるからである。多少を100点満点の1とすれば、全然は0(ゼロ)ということになるわけである。1と2・・・、99は0(ゼロ)と比べれば同質であるから同じでもあることになる。同質だから1,2,3・・になるように稽古を積んでいけばいい事になる。これはそれほど難しくはない。しかし、0(ゼロ)から1になるのが容易ではないのである。異質の次元にあるからである。それで誰もが苦労し、悩んでいるわけである。その0(ゼロ)状態にあった「気」が1か2か知らないが多少分かったわけであるからこれほど嬉しい事はないわけである。
合気道の稽古の1年を振り返れば、密度の濃い一年であったが、一直線ではなくくねくね曲がりながら進んだ一年だった。他の人に会ったとか、どこかに行って何かをしたなどは既に忘却の彼方にあるので、それは光陰矢の如しである。合気道以外の事は興味が無くなってきているということである。これもまた嬉しい。

更に、「気」が分かったと言えるのは、次の次元のものが見えて来たという事であり、それが嬉しいのである。それは何かというと「魂」である。我々合気道家が目指しているものである。合気道の最終目標は「魂の学び」と言われているのである。つまり、気がわかったことは次の次元に結びつくことにもなるのである。嬉しいかぎりである。「魂」も1まででもないが0.1ぐらいの微弱ながら分かってきたのが超嬉しいのである。

お陰で2024年の目標も明確になった。「魂の学び」である。来年の「一年を振り返って」が我ながら楽しみである。