【第913回】 歩行

合気道の稽古は続けているが、足が弱っている。街を歩いていても、若者は云うに及ばず、高齢者にさえも追い抜かれてしまうのである。若い頃は誰にも抜き去られないで歩行していたのと雲泥の差である。また、歩行が遅いだけでなく、歩いているという満足感がないし、ふらつく等不安定なのである。
しかし、合気道で技をつかうときには足づかいはしっかりしていて問題がない。また、歩行でも坂道を上る際は地に足が着き、地からのエネルギーが足・体に戻ってきて、歩いている実感が持てるのである。普通の歩行に問題があるはずである。その問題と原因を見つけて改善しなければならないと思ったわけである。

そこで先ず、街で若者がどのように歩いているのか、そして高齢者はどのように歩いているのかを観察した。そして若者と高齢者の歩行の違いを見つけようとしたのである。

歩行は踵を地に下ろし、そして足先(母指球、小指球部)を地に着けて体重を移動するが、若者は踵と足先にほぼ同じ割合で体重を掛けるが、高齢者は踵に多くの体重を掛け、足先への体重が少なくなるのである。つまり、足先へ体重を掛けなくなってくるのである。
私の場合も踵に体重を多く掛け、足先に体重を移動していなかったために歩行が上手くいかず、歩行速度が遅かったわけである。坂を上る時に上手く歩けたのも足先に体重が自然にのっていたというわけである。

高齢者になって足が弱るとは、歩行がままならなくなることであるが、その原因には、筋肉の働きが弱くなるということと、足のつかい方にあるということである。
踵と足先を同等につかう事により、歩行が少し早く、そして安定し、歩く事の楽しさ、素晴らしさを楽しめるようになってきた次第である。