合気道の技は主に手で掛けるから手が大事である。技を掛けるにはしっかりした手でなければならない。しっかりした手とは、折れ曲がらない手であり、よく働く手である。
手とは何度も書いているように、手先・指先から胸鎖関節までである。つまり、指先から手首までの手の平、手首から肘までの腕、肘から肩までの二の腕(上腕)、そして肩から胸鎖関節までの部位で構成される。
はじめは魄の稽古をしっかりしていなければならないから、これらの部位が自由に動くよう、そして強くなるように鍛えなければならない。特に、手首、肘、肩の関節部を柔軟、強力に鍛えなければならない。柔軟、強力に鍛えるとは、手の平と腕が独立して働けるようにしたり、一緒に働くようにすることである。つまり、各部位は独立して動かすことも、また、一本の手として働くようにもできるようにするのである。そうすることによって不必要なカスがとれて必要な筋肉がつくからである。
次に、手先と腰腹を結び、腰腹で手をつかうようにする事である。腰腹からの力を手先に伝えて技をつかうのである。腰腹との結びを切って手だけをつかっても大した力はでない。これを腕力と云う。
次に、腹からの力を腰の力に返し、陰から陽の力をつかう。これによって胸鎖関節で左右の手がつながり一本の手としてつかえるようになる。両手が一対となってつかえるということである。
次に、天地の力で手を動かす つかう事である。オーで地に下りた気が上がり、ウーの気と共に手が上がる。手を上げるのではなく、上がるのである。正面打ち一教や片手取り呼吸法はこれでやると上手くいくようである。手が天地の気で満ち、これまでの魄の力とは異なる力である。
直近の手の鍛練法である。それは手先に気を満たし、手先から気を出しながら手を伸ばすのである。手先から気を出すと不思議と手、腕は固まらず、強力な手ができるのである。イクムスビの息づかいでやればいい。また、これまで苦労していた肩も抜けるのである。肩が抜けるから両手が繋がり、強力な手ができることになる。
肩を貫くためにいろいろやったが、手先から気を出して手を伸ばしながらつかうのが簡単でいいようである。
これまでは手先に力を入れると腕が固まり、肩が凝り、手が上手くつかえなかったので、手先の力を抜いた状態で手をつかっていた。今思えば、それは手を身に引いていたことになり、魄が下にならず、大きな力が出なかったわけである。