【第898回】 合気の実行

合気道を長年にわたって修業している。合気道のお蔭で友人ができ、海外生活を体験し、理想的な仕事につく事もできた。また、合気道の修業を通して、合気道の技だけではなく、自分の心身とその関係、宇宙の心と営み等々他では教えて貰えない事を教わった。いつか合気道にお礼をしなければならないと考えていたが、その時が来たようなのだ。

これまで錬磨していた技がようやく合気道の技になってきたのである。気が出てつかえるようになったし、魂が魄の上になり魂が魄や相手を導く技になり、また、空の気と真空の気がむすび、波動(魂のひれぶり)により相手を凝結してしまう技がつかえるようになったのである。
他人はどう思うか知らないが、己がそう自覚できるのである。最低の真の合気道の技がつかえるようになったということである。これを更に錬磨し探究していけばいいことになるから、後は楽である。これまでのように何をどうすれば全然見当がつかないで、暗中模索していたのとは違うわけである。

もう一つお礼の時が来たとする理由は時間である。己に残された時間はそう残されていないはずであるから、そろそろお礼をしなければ、お礼する時間がなくなってしまうと思うようになったのである。
合気道にどのようにお礼をすればいいのか、まだ詳細には考えていないが次のようである。
合気道の修業の目標には小乗と大乗があると考えているが、まずは小乗の宇宙との一体化を後進に残したいと思う。己が身につけた魂のひれぶりの技とはどういう技なのか、また、どうすればいいのか等である。興味がある稽古人はそれを見れば参考になるはずだし、それに近づけようと稽古をするはずである。

技が合気の技になってきたところで、次は大乗の合気道の教えを伝えていきたいと思う。地上天国建設のための合気道である。主に、これまでのよう論文で啓蒙する。これまでは技が不完全で、他人だけでなく自分自身に対してもあまり説得力がなかったように思うが、これからはもう少し説得力が増すと期待している。

ところで何故、後進に技だけでなく、宇宙建国完成のための合気道の業と考えの教えを残そうとするのかとうことである。合気道は武道であるから、合気の技だけでいいのではないかと思うのではないだろうか。

これが合気道の大事な教えなのである。合気の技だけでは修業は完成しなし、折角会得した技を失墜してしまうということなのである。宇宙建国完成のためになってこそ合気道の修業が完成すということなのである。小乗の技と大乗の思想の両方が必要だからである。これを合気の実行と大先生は次のようにも教えておられるのである。「我々は与えられたる神業を失墜せんように、慈となり光りとなって、神のみ子たるところの身の本分をつくし、宇宙建国完成、人の完成の業に奉仕し、顕幽神界三界にわたり、世よをあげて和合し、経綸を進むるは、我々の完成の道であり、それは合気の実行であります。」(武産合気P.27)

これからは、後進達に先人の教え、己が得た教えを技だけでなく、地上天国建設へのお手伝いの実行による合気の実行に移していきたいと考えているところである。