【第897回】 超高齢者に見習う

長く生きた先輩からは学ぶ事が多い。別に偉業を達成したり、残した先輩だけでなく、一般庶民からも学ぶ事はある。日頃、新聞やテレビを見ていても素晴らしい仕事をしているとか、羨ましい生活をしているものだと感動させられている。

先日、新聞広告に本が紹介されていたので買って読んだ。面白いし、読みやすいので一気に2,3時間で読んでしまった。私にとっては新記録である。
その本は『102歳、一人暮らし。』(文芸春秋刊)である。
 
102歳の石井哲代さんがどのような人なのかはこの写真を見ればわかるだろう。生きることを楽しみ、生きていることに感謝している。いつかお迎えがくることも承知しているが、それまで少しでも健康で長生きしようとされている。
彼女のこの長生きのためにやっている八つの習慣が紹介されている。
  1. 朝起きたら布団の上げ下ろし
  2. いりこ味噌汁を飲む
  3. 何でもおいしくいただく
  4. お天気の日にはせっせと草取り
  5. 生ごみは土に還す
  6. こつこつ脳トレに励む
  7. 良英さんと会話する
  8. 柔軟体操をする
ここからの教えは、長生きするためには、毎日、運動(布団の上げ下ろし、草取り、柔軟体操)をする。健康な食事を摂る(いりこ味噌汁)。頭をつかう、鍛える(脳トレ、会話)。自然と共に生きる(生ごみは土に還す、草取り)。何でもいい方に取る(何でもおいしくいただく)ということになる。

これを自分と比べて見ると、毎日、みそぎをしているので運動になっていると思うが、畑をする石井哲代さんに比べると足りないだろう。自然と共に生きることは、合気道は宇宙との一体化につとめているから、これを進めればいいだろうが、食事はもう少し健康を考えて摂らなければならないし、物事はいい面をとらえて満足するようにならなければならないだろう。

彼女は云う。「当たり前の毎日に感謝し、ささやかなことに大喜びしています。こうして、体も心も大いに動かすから、朝までぐっすり眠れます。」羨ましいかぎりである。
また、家の前に坂があるが、傾斜は30度ほどで、下りるのに50歩かかるが、彼女は「この坂は元気のバロメーター。ここをあるけるうちは大丈夫。坂との真剣勝負をたのしんでいるのでございます。この坂のおかげで体も心も強くなります。よし行くぞってなもんです。」と云う。

心の大事さも教えている。
彼女は、「情けないことも、しんどい思いも全部自分の心です。引きずるのも打ち切るのもやっぱり自分次第ですけんね。自分の心は自分で育てるしかない。いくつになっても切磋琢磨ですな。」と云う。
また、「気張らず飾らず、あるがままを受け入れる。自分を大きく見せんことです。煩悩やねたみといった、しんどいことは手放すに限ります。その代り、うれしいこと、楽しいことは存分に味わうの。元気でいるためには、まずは心ですから、心が体を引っ張ってくれる。心がしんどくならないようにするのが大切じゃと思います。」

最後に今後の抱負が述べられている。
「高望みはいたしません。無事が一番です。何の変哲もない、平凡な毎日の中に喜びを見つけていきたいです。残りの時間を考えると、この一瞬一瞬がとてもいとおしいの。じゃからね、もうちいと一人暮らしを頑張ります。最後に“ああ、生きた、ええ人生じゃった”と思えるように。」

彼女の教えを参考にさせてもらい、もう少し頑張ることにした。