【第860回】 みんな仲間、家族

今、世界には70億人以上の人が生存している。日本だけでも1億人以上の人がいるが、誰一人同じでない。顔、姿、形で違うし、目に見えない心持、感性等々でもどこかが違う。
しかし、世界の70億人でも、日本の1億人でも同じではないが、同じところもある。人として共通しているものである。頭があり、手と足が二本ずつある。つまり、人間には人間共通のモノを有し、また、他人とは違うモノを有しているという事である。これは過去の人にも未来の人にも該当する、所謂、宇宙の法則である。

この共通する部分としない部分を有するのは人間だけではない。鳥獣魚虫類と人の間にもある。外見は大分違うが、彼らにも顔があり、目があり、口もある。また、植物と人間の間にも共通するモノはある。例えば、太陽、水、空気が必須だし、もしなければ死んでしまう。

合気道では人間は皆家族であり、仲間であると教えられている。また更に、動植物を加えた生物も皆家族、仲間であるという。すべての生物に共通のモノがあるということだと考える。その証拠に、前出しの、太陽、水、空気を必要とし、もしなければすべて仲よく滅亡してしまうのである。

人間、鳥獣魚虫、植物に共通するモノの冴えたるモノは、地上楽園建設への生成化育であるように見える。みんなハッピーになりたいのである。そのためにすべての生物は子孫繁栄に頑張っているはずである。
地上楽園建設のためには人間もそうだが、すべての生物にお互い異なるモノがなければならないだろう。生物のすべてが共通するモノで出来ているとしたら、面白くもないし、危険でもある。何か病気があったり、闘争があればみんな一緒に滅んでしまうだろう。故に、自分に有るものを強要したり、それがない物を馬鹿にしてはならない。

今、世界では戦争や争いが絶えないし、ますますエスカレートするようだ。アメリカと中国、中国と台湾、日本と中国とロシア、ウクライナとロシア、イランと欧米諸国、北朝鮮と韓国、アフガニスタン、ミャンマーなどである。
これらの戦争や争いをなくすために、国連やいろいろな国際機関で議論され、検討されているが上手くいかない。機能不全に陥っている。これらの国際機関だけでなく、学者、知識人たちも手の施しようがないという状態にある。

我々合気道家もこれらの戦争や争いをすぐに止めさせることは出来ないが、何かをしなければならないだろう。合気道は万有万物が幸せに暮らせる地上天国を建設するために修業しているからである。

合気道および合気道修行者ができることは、この合気道の思想である「みんな仲間、家族」を世界中に広めることだと考える。技を磨くと共に、世界にこの「みんな仲間、家族」、更に、人間だけでなく、鳥獣魚虫類、草木、万有万物「みんな仲間、家族」であることを広めていけばいいだろう。一人でも多くこの合気道の目標である考えを理解してもらえれば、みんな家族・仲間になり、戦争、争いの理不尽さ、馬鹿々々しさが分かり、戦争、争いがなくなっていくと考えている。また、万有万物となかよくすることによって地球環境の改善にもつながるはずである。
まずは、合気道家が「みんな仲間、家族」を理解しなければならない。