【第786回】 室井摩耶子100歳現役ピアニスト
NHKのテレビをつけていたら綺麗な音色のピアノの音が聞こえたので見ると、高齢の女性がピアノを弾いていた。曲はエリーゼの為にであったが、音色が美しいだけでなく、奏者が音楽と語り合って、ピアノを弾いているというより、音が独りでに飛び回っているような感じがし感動した。
演奏は非常に短かったが、インタービューのトークでも感動するような事を言われており、早速、インターネットで調べてみた。
名前は室井摩耶子さん(写真)、国内で最高齢の現役ピアニストとして活動しており、4月18日に100歳を迎えるという。30代から50代にはドイツを拠点に13か国で演奏を重ねるなど国際的に活躍し、現在も国内で最高齢の現役ピアニストとして活動を続けておられる。
室井摩耶子さんはこのNHKのインタービュー・トークで、次のような興味ある、高齢者に参考になる事を言われている。
- 100歳を迎える心境について、「いい芸術家であるためには何が必要かが分かってきました。人間として自分の中身をもっと深めなくてはいけない。そのときに初めて自分の芸術ができあがると思います」と話したうえで「芸術はきりがないものだと痛切に思います。200年生きても足りない気がします」
- 「今でも新しいものを発見できることは本当にすばらしいことだと思います。その思いは、これからも変わらないと思います」
- 「音そのものがものを言っていると感じるようになった」
- 「伝えるテクニックは指が早く動くとかではなくて、結局は人間性が本当に深くならないと、音楽の深さというものには、なかなか到達できないと感じます」、また、「年齢を重ねることは決して衰えだけを意味するのではなく、それまでの経験によって初めて到達できる表現もある」
- 今後の目標について、「音楽の本物のすごさ、深いところにアタックしていきたい」
- 「私にとって音楽は、際限がないんです。おもしろくて、とてもやめられない。100歳になったら100歳のものを見つけたいと、しきりに思っているんです。だから、まだちょっと死ねないですよ」
この言葉を、己と合気道や音を技に置き換えてみればいい。
まだ、傘寿(80歳)になったばかりだから、100歳は大先輩であるし、80歳はまだまだと実感する。
この100歳の超高齢者から教わる事は多い。磨き上げられた最高の作品(演奏や音)、その生きる姿、真実を求める姿、将来に向けての考え、年を取ることを否定的に捉えずに、年を取らなければ判らない事や出来ない事を自覚し、年を取る事のすばらしさや意味、更に100歳を過ぎてからの生きる意味や生き方を教えてくれ、大変参考になり手本になる。まだまだ、素晴らしい高齢者の先輩はおられるようだし、教えを受けなければならないと思
った次第である。
早速、室井摩耶子さんのCDを探して拝聴したいと思う。
参考資料:
NHK NEWS WEB 「最高齢ピアニスト 室井摩耶子さん 100歳を前にコンサート」
Sasaki Aikido Institute © 2006-
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