【第768回】 高齢者の役割

あと残すところ、三月ほどで傘寿さんじゅ(80歳)になる。傘寿を一つの節目としようとしているので、私にとっては重要である。
何故、傘寿が私にとって重要になるかというと、前から書いているように、傘寿から真の高齢者、真の大人になりたいと決めているからである。傘寿までは鼻たれ小僧であるが、傘寿からはその鼻たれ小僧を脱却して真の大人になりたいと願うからである。日常生活に於いても真の大人になりたいし、合気道でも真の大人・高齢者の稽古をしたいと思っている。

これまでと傘寿までの生き方と稽古を思うに、次の三つの時期に分ける事ができる。

<日常生活>

  1. 子供時代、学生時代
  2. 仕事時代
  3. 退職後の時代

<合気道>
  1. 入門と初級段階
  2. 中級段階
  3. 上級段階

私の場合、この3つの時期は、<日常生活>と<合気道>と連動し、重なり合っていた。

次にこの1期から3期までの特徴を顧みてみる。
第1期は、過去から学ぶ時期である。過去や先人たちの知識・知恵・技術を遊びや家計、学校、そして道場で身につけていく時期である。
第2期は、過去や先人たちの知識・知恵・技術を活用、応用してモノや事を生み出し、新たなモノや事を試し、創造していく時期である。自分をつくり上げていく時期である。自分のやりたい、やるべく仕事・役割がわかり、それに集中していく準備の時期である。自分を育て上げる時期である。
第3期は、人、後進、後輩を育てる時期である。恩返しの時期である。

第3期は未経験で、これからの事なのでまだよくわからないが、人、後進、後輩を育てる時期であると考えている。これまで多くの素晴らしい人たちが世界中にいたわけだが、その共通要因こそが「人、後進、後輩を育てる」であったと思うからである。はじめは自分のため、家族や身内のために頑張るが、最後は人のため、人類のため、地球のためにと頑張ったのである。合気道を創られた植芝盛平先生を思い起こせばそれがよく分かる。

さて、最初に戻る。「日常生活に於いても真の大人になりたいし、合気道でも真の大人・高齢者の稽古をしたいと思っている」と言ったが、真の大人とは、人のため、人類のため、地球のため、そして宇宙のために生き、そして稽古をしていく事であると考えている。これが高齢者の役割でもある。あと三月でそれが出来るよう技を磨き、そして心を決めなければならないわけである。鼻たれ小僧でいられるのも後三月である。