【第753回】 日常の当り前の生活に感謝

今年の夏は猛暑に加え、新型コロナウィルス感染といつもと異なる異常な生活を強いられている。そしてこれまでの当たり前の生活ができていた有難さがわかる。お金がないとか時間がないとか言いながらでも、日常の当たり前に満足し、感謝すべきだと思うようになる。
暑くとも体がそれまでのように当たり前に働いてくれる。頭も暑さでふらつくこともなく働いてくれ、手足も正常に動いてくれる。
道場稽古でも、多少暑くて苦しいが、稽古が続けられれば幸せである。

今年は新型コロナウィルス感染の影響でこれまでの当たり前の生活が出来なくなった。外出も制限され、レストランや飲み屋への自粛、旅行の制限などなどこれまでとは大違いとなった。
このような状況になると、これまでの日常の当たり前の生活に感謝するとともに、いろいろと考えさせられるようになる。
まず、今年の猛暑や新型コロナウィルス感染、それに大型台風は今年が最悪ではないだろうし、来年以降はこれ以上に悪い状況になるのではないかという不安である。今年のこれらの被害は酷いが、これで終わりであるとは考えられないし、もっと酷くなるのではないかと心配する。
次に、猛暑、新型コロナウィルス感染、大型台風はわれわれ人がつくり出しているのではないかということである。少しでも快適を享受しようとしている人類が、森林や自然を破壊し、海や川や湖を汚染し、冷暖房に膨大なエネルギーを消費し、車や飛行機や船で二酸化炭素を排出しており、それが年々ひどくなっているわけだから、その結果もたらされる災害もひどくなるはずである。

このままいけば、来年、10年後はもっとひどくなってしまうはずである。
宇宙物理学者のホーキング博士は、人類や地球が亡びるときはあっという間の100年であるという。
人類や地球が亡びないために、そろそろ人類は手を打たなければならないはずである。
そのための一つが“日常の当り前の生活に感謝”であると思う。己が健康であること、己が当たり前に生活できること、己を取り巻く環境に感謝することである。自分を見つめ直すのである。自分の外のモノに振り回されては不味い。
もう一つは合気道の教えである。人は地上天国を建設するという使命をもっていることを認識することである。地球を破壊するのではなく、地球を少しでも天国に近づけるべく生きることである。人がこの万有万物の使命に気がつき、その使命を果たすようになれば猛暑もコロナウィルスも台風も段々とおとなしくなるはずである。