【第923回】 息陰陽と水火 その2
前回に引きつづき「息陰陽と水火」について書く。これで技をつかうと新たに分かったことがあるし確信が持てた事もあるからである。
まず、確認できたことは、我々人間も動物も息をして生きている事であるが、また、水火でも生きているということである。体を膨らませ→収縮し→膨らませ・・・である。腹の働きがその典型であるが、よく観察してみると頭のてっ辺から足先まで、また血管や筋肉も規則的に膨張→収縮→膨張を繰り返している。これが「一挙一動ことごとく水火の仕組み」ということになろう。
合気の技もこの水火の仕組みで生み出していかなければならないことになる。開祖はそれを「合気はいつもいう通り、地の呼吸と天の呼吸とを頂いてこのイキによって(略)技を生み出してゆく」と教えておられる。つまり、地の呼吸と天の呼吸のイキで技をつかえということである。
この教えには二つの大事な事がある:
- イキは地の呼吸と天の呼吸である事である。天地の呼吸であり、その呼吸を人間も動物もしているということ。つまり、天地のイキに合わせて人間も動物もイキをしていることになる。技はこの二つのイキで生み出す事になるわけである。
- 地の呼吸と天の呼吸のイキの“イキ”は実は“水火”なのである。それは布斗麻邇御霊の『水穂伝』(山口志道)の中にある。
「此古伝の御形は、布斗麻邇御霊より割別たる水火の形なり。是をもて、天地の気を知の御伝なり。」
布斗麻邇御霊の形は、
である。
万有万物を産みだし、活かすのは布斗麻邇御霊である。合気の技も布斗麻邇御霊で始め収めなければならない。
しかし、合気道の技の一部や他の動きの場合は布斗麻邇御霊より割別たる水火(イキ)の形になる。例えば、
- ━ 火也 緯也:横の動きの場合は、息を引く。合気で手を横に返したりや居合で刀を抜く動きは火の引く息となる。
- ┃ 水也 経也:縦の動きの場合は、息を吐く。合気で手を切り下ろしたり、剣を切り落とすのは水の吐くイキとなる。
- ○ 水也: 円の動きの場合は、息を吐く水のイキである。息を引くと円ではなく四角(□)になる。
他の水火の形もそこに記してある水火(イキ)づかいでやらなければならないようである。
合気道の技は布斗麻邇御霊の水火(イキ)で、部分的な動きや他の動きはその布斗麻邇御霊から割別たる水火(イキ)の形でやらなければならないということであろう。いづれにしても水火(イキ)は重要であるという事である。
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